CASE3「人の気持ちがわからない子」
表情から感情を察するために必要な能力は?
友達がペットの猫を亡くして悲しんでいるのに、にやにやと笑っていたり、「ペットショップで新しい猫を買えばいいじゃないか」など無神経な発言をしてしまったり。相手の気持ちを考えられない子がいます。その背景には、境界知能やグレーゾーンの子の認知機能の弱さが関係しているかもしれません。
相手の表情を読んで感情を察するには、いくつかのレベルがあります。第1段階では、相手が涙を流していれば「悲しんでいるな」と、笑顔ならば「喜んでいるんだな」と察するなど、相手の表情がきちんと読めるかが重要です。
第2段階は、表情以外の情報や状況から、相手の気持ちを察することができるかです。そして、最後の第3段階では、相手の置かれた状況の背景を想像して、気持ちを理解できるかどうかです。
たとえば、友達がペットを亡くして悲しんでいたら、「あの子は一人っ子だから、もしかしたらペットを弟や妹のように思っていたのかも。弟や妹が死ぬくらいつらかったんじゃないか」などと想像し相手に共感できるレベルです。
しかし、境界知能やグレーゾーンの子で認知機能が弱いと、相手の表情自体が認知しにくいがゆえに、相手が落ち込んでいてもどうしても思いやりのない言動を取ることが増えてしまうのです。