CASE2「自分のことを棚にあげる子」
どうしてあなたは他人に厳しいの?

 自分のミスには甘いのに他人のミスには異常に厳しいなど、言葉と行動が一致しないというように、言動と行動に矛盾が出やすく、周囲から誤解を受けやすい傾向にある子もいます。背景に境界知能やグレーゾーンがあるかもしれません。

 誰しも自分のことは自分ではよく見えないものなので、子どもが自己評価を育てていくうえで他人との関わりは欠かせません。

 たとえば、「あの人は私と一緒だと笑ってくれるから、あの人は私が好きなんだ」「あの人は私といると不機嫌そうだから、嫌われているのかも……」などといった他者の反応を見ながら、「自分はこういう人間なのだ」と自己を認識していくのです。

 ただ、周囲の評価を正しく自分にフィードバックするには、正しい認知の力が必要です。境界知能やグレーゾーンの子どもの場合は、周囲の状況を見たり聞いたりする力が弱い子が少なくありません。

 先生が自分をほめてくれているのにバカにされていると誤解したり、友達が自分の行動で傷ついているのに好かれていると勘違いしたりと、周囲の出すサインの受け取り方を間違えてしまうと、自分に対して適切な評価ができなくなってしまいます。

 その結果、自分のことは棚にあげて他人を批判したりしてしまうのです。

P41イラストイラスト:(C)石玉サコ 拡大画像表示