仕組みを疑う発想をまずインストールする
個人だけを攻撃する思考パターンからは少しずつでも脱していきたい。ミスやトラブルの原因分析や再発防止策を講じる会議が行われたなら、その場であなたが次のいずれかの問いを発してみよう。
「仕組みに改善の余地はないでしょうか?」
「仕事のやり方を見直しませんか?」
「環境に問題はなかったのでしょうか?」
あるいは何も言わずにホワイトボードの前に立ち(または白紙のパワーポイントなどの電子ファイルを開き)、次の5つの枠を書いて、個人に向いていた参加者の意識を、組織の問題に向けさせるのだ。
・仕組みの問題
・プロセスの問題
・ルールの問題
・環境の問題
背景にある要因にも目を向ける
とはいえ仕組みを疑うのが苦手な組織もある。背景には「仕組みを疑う=その仕組みを創った人の否定」と捉える価値観や、「ラクをするのはズルい」なる思考なども存在する。
「言ったもの負け」文化が根強く、改善提案をするとその人がやらされる(だから声を上げない)などの事情もあるだろう。これらの体質も変えながら、仕組みを疑う行動を徐々に起こしていく必要がある。
仕組みを疑い、人に優しい組織になろう
ミスやエラーが発生したとき、組織や環境のせいにする他責思考も問題だが、過度な自責思考も問題である(「自責で考えた?」が口ぐせになっている組織ほど要注意)。
そもそも、組織が正しいとされる前提が傲慢である。ミスやエラーを属人的な理由で片づけず、組織の構造や仕組みの問題と捉え、改善する。それが組織の徳であり、人の求心力も高める。
人が介する以上、ミスは起こる。仕組みの改善で個を守る(あるいはミスに寛容になる)ことは人への優しさである。あなたの組織は人に優しい組織と言えるだろうか。
・仕組みを疑う提案をする
・再発防止策を講じる際に、「5つの枠」を書いて考える
・「言ったもの負け」など、背景にある文化にも目を向ける
(本稿は、書籍『組織の体質を現場から変える100の方法』の内容を一部抜粋・編集して作成した記事です)
作家/企業顧問/ワークスタイル&組織開発/『組織変革Lab』『あいしずHR』『越境学習の聖地・浜松』主宰/あまねキャリア株式会社CEO/株式会社NOKIOO顧問/プロティアン・キャリア協会アンバサダー/DX白書2023有識者委員。日産自動車、NTTデータなどを経て現職。400以上の企業・自治体・官公庁で、働き方改革、組織変革、マネジメント変革の支援・講演および執筆・メディア出演を行う。『チームの生産性をあげる。』(ダイヤモンド社)、『職場の問題地図』(技術評論社)、『「推される部署」になろう』(インプレス)など著書多数。