デキる上司は部下から聞かれる前にきちんと根拠を説明をした上で、変更点を説明します。しかし、離脱者が多いチームの上司は変更点のみを説明し、背景を問う部下に対して、「いちいち説明する必要があるのか」とか、「上司である自分の言うことを聞いていればいいんだ」といった返しをしてしまいます。

 チームで動いている以上、部下も納得感を持って業務に取り組みたいはずです。上司のために働いているわけではありません。こうした気持ちをしっかりと汲み取れるかどうか、これが離職者の多いチームと、少ないチームの決定的な差だと思います。

 離職を防ぐために、目の前の社員の機嫌をとるのは、根本的な解決につながりません。上司と部下の間において、「機嫌」という軸でコミュニケーションをしてしまうと、前述のエピソードでも触れたように、いつかその関係は破綻してしまうと思います。目の前の一人ひとりの顔色を伺うのではなく、長期的な成長を見せていくことが重要です。この会社で働くこと、チームで働くこと、自分と働くことで、具体的にこんな成長を描けるのかといったビジョンを見せていくのです。

 お金で魅力付けし、採用した社員はお金で去ります。働き方で魅力付けし、採用した社員は働き方で去ります。目先のメリットで気を引こうとしてしまうと、本当に「この会社で働きたい!」と思う人を採用することができません。

 成長し続ける企業というのは、中長期的な成長目標を掲げ、それをしっかりと従業員に浸透させ、個人の成長を描くところまでを徹底することで実現できるのだと思います。