対立するビジネスパーソン写真はイメージです Photo:PIXTA

人は誰もが「自分が正しい」という信念を持って生きている。しかし、多種多様な「正しい」が集まる現代社会においては、時に意見が一致せず対立状態に陥ったり、意見が合わない他者をあからさまに排除したりもすることも……。他人のアラを探して自分の意見を押し通さねばという衝動に駆られたり、また逆に他人の言葉を鵜呑みにしそうになったりしたら、まずはひと呼吸置くことが肝心だ。※本稿は、バルタザール・グラシアン著、齋藤慎子訳『バルタザール・グラシアンの賢人の知恵 エッセンシャル版 クラシックカバー』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を抜粋・編集したものです。

真実を見抜く知恵1
相手の立場で考える

 人はそれぞれ自分が正しいと思うことに基づいた立場をとり、自分の信念をさまざまな方法で正当化する。

 ある問題で2人の意見が対立したとき、それぞれが正しいのは自分だと信じているが、道理に二面性はありえない。相手の見解を批判するときは用心して、反論は控えめにしよう。相手の立場に立ってみて、相手の意見を理解するよう努めるのだ。

 相手の立場から問題を検討してみれば、相手を完全に非難することも、こちらの根拠を全面的に擁護することも難しいことがわかるものだ。相手の立場でしばらく考えよう。

真実を見抜く知恵2
情報を鵜呑みにしない

 人は耳にしたことを信用しがちだが、耳は真実を受け入れにくく、うそを堂々と通してしまう。

 真実は目で確かめて理解するもので、人から聞いて理解するものではない。伝聞にはたいてい先入観が混ざっている。時間がたって伝わってくる場合は特にそうだ。人から聞く話は、伝わってくる過程で話し手の感情や意見によってねじ曲げられてくる。

 だから用心して褒貶ともに耳を傾けなければいけない。