という話をすると決まって「この問題は多くの女性が被害の声をあげていることがポイントだ、そんなこともわからないのか」というお叱りを受けるのだが、その多くの被害者たちが、刑事告訴や民事訴訟をしているのならば、ご指摘の通りだと思う。
有名ジャーナリストから性的暴行を受けたとして法廷で争った伊藤詩織さんや、大阪地検のトップの検事正(当時)から性的暴行を受けたと刑事告訴した検察官のような方が多数いたら、筆者も「#松本人志をテレビに出すな」に賛同している。犯罪者が法の裁きを受けるのは当然だ。
しかし、今のところ「被害」の実態は、警察でも法廷でも語られず、文春記者相手だけにしか語られておらず、第三者は確認しようがない。この不公平な状態で、松本さんを犯罪者認定して社会的に葬り去ろうというのはあまりにも「雑」だ。
文春記者が信用できないとかなんとかいう話ではない。今回の松本さんの性加害報道は週刊誌スクープだ。これは言い換えれば「リーク」である。リークというのは、何かしらの「意図」がつきまとう、というのが週刊誌報道の常識だからだ。
週刊誌記者が明かす
「性加害報道のつくり方」
一体どういうことかわかっていただくため、私自身が関わった性加害報道を例に説明しよう。
今から20年ほど前、実話誌編集者だった頃、信頼のおけるライターさんから、某大物自民党国会議員の性加害疑惑のネタが提案された。
今回の松本さんのケースと同様で、物的証拠はないが、「被害者」をしっかりと抱え込んでいるという。もし名誉毀損で訴えられたとしても、公共性はあるし、被害者自身の訴えなので、真実と信じる相当な理由がある。
そこに加えて、心強かったのはこの疑惑が既に、業界では知る人ぞ知る大物ジャーナリストも取材に動いていて、性加害を匂わすような情報を「砲」のつく大手週刊誌が記事化していたからだ。
しかし、結論から先に言ってしまうと、これは「ガセ」だった。