鈴木:はい。先日ブルガリアで音楽ビジネスについての講演をする機会があったのですが、その際訪れた街で、「アイドル」をBGMに現地の若者たちがライブ書道パフォーマンスを披露している場に偶然出くわしました。大きな半紙に墨で「仲間」って書かれている、その横ではコスプレをしたブルガリアの若者たちが「アイドル」のリズムにあわせて踊っている――こりゃ、すごいことになっているなと(笑)。

――日本語のMVが流れている空間で、日本の伝統文化とコスプレが同居していて、違和感なく受け入れられているわけですからね。

鈴木:そうですね。世界的に多様化がトレンドとなっており、YouTubeなどで自動翻訳の精度が急速に高まったこともあり、スペイン語など英語以外の言語がエンタメのなかで受け入れられ始めているという流れにも、うまく「アイドル」はハマったと言えるでしょう。

ファンダムプラットフォーム「Weverse」(ウィバース)は、自動翻訳によってアーティストとのチャットが楽しめることで人気になっており、特にK-POPアイドル界隈では定番になっているアプリだ。6月に1億ダウンロードを突破。月間アクティブユーザーも1000万弱人いる。(HYBE JAPANのプレスリリースよりファンダムプラットフォーム「Weverse」(ウィバース)は、自動翻訳によってアーティストとのチャットが楽しめることで人気になっており、特にK-POPアイドル界隈では定番になっているアプリだ。6月に1億ダウンロードを突破。月間アクティブユーザーも1000万弱人いる。(HYBE JAPANのプレスリリースより) 拡大画像表示

 一方で、どうしても「アイドル」で日本音楽のグローバルヒットが語られがちなのですが、音楽業界はもう「次」に向けて動き始めています。業界の関心もヒットチャート上位に入るとか、巨大な再生数を稼いでバズった、というところに留まらず、いかにビジネスにしていくかに移っていますし、加えてアーティストの継続的なキャリアをどう築くか、という点にも関心が集まっています。