会話する男性Photo:PIXTA

「ヤバい本」をヒットさせる異色の編集者兼作家の草下シンヤ氏は、いかにしてベストセラーを書いてくれる著者を口説き落とすのだろうか。著者にヤル気を出してもらうために、「初回の打ち合わせで大切にしていること」を明かす。本稿は、草下シンヤ・大泉りか『ヒットを生む技術 小規模出版社の編集者が"大当たり“を連発できる理由』(鉄人社)の一部を抜粋・編集したものです。

本を書いてほしい著者との
初回の打ち合わせで大切なこと

 出版業界は広いようで狭いので、かねてから互いに知っている相手と本作りすることも多々あるが、アイディアに合わせた著者を探して、相手に企画を提案することもある。「この人の本を作りたい」と思った場合は、見知らぬ相手であってもアポを取って会いにいくことになる。ここでは、草下氏の著者との付き合い方について紹介していく。

 まず「本を出す」ということへの同意を相手から取ることになる。当然ながら、相手の心を掴まないと同意は得られない。だから実はこれは、編集者にとってかなり重要かつ難しい仕事だ。ゆえに「著者を口説く」などと表現をしたりもする。草下氏の場合は、著者がアウトローであったり裏社会に近しい人であったりと、一筋縄ではいかない相手の場合も多いので、いっそう苦労が多そうだが……。

 初回の打ち合わせで大切なのは、面白い本を一緒に作れそうな気持ちになること。「楽しそうだな」とか「売れそうだな」とか「意義があるな」とか、ポジティブなマインドになったら、その仕事を前向きにやる気になるじゃないですか。

 だから、最初の打ち合わせでは、提案する企画の面白いポイントをしっかり説明できるようにしておきます。