その究極にあるのが純粋な善き思い・利他の心・無償の愛と呼ばれるものです。別な表現にすれば、稲盛さんの人生哲学でもある「世のため人のために尽くす」や、座右の銘でもある「敬天愛人」という言葉で表されるものです。
しかし、問題なのは、「考え方」にはマイナス100点からプラス100点まであると表現されているように、幅が広くしかも変わりやすいことです。実際に、正しい考え方を知っていてもそれを常に実践するのは難しいものです。
私自身もそうですが、ちょっと油断すると心の中は妄想・邪心のようなもので一杯になります。何か約束をしても、それが守れないと分かれば、すぐに言い訳を探します。誰かが褒められると嫉妬し、選択肢があれば何も考えずに楽で得なほうを選びます。そして、思い通りにならないと不平不満を口にし、弱みを見せまいと怒りを爆発させることもあります。
考え方がマイナスになると
高い能力と熱意が逆効果になる
このように、ほとんどの人間は、いくら正しい考え方が大事だと分かっても、すぐにマイナスの考え方になってしまう弱さを持っています。なぜでしょうか。
稲盛さんは、生命を維持し子孫を残すために必要な食欲などの欲望や他者から自分を守るための怒りなどは、本能として生まれたときから私たちの心の中にビルトインされているからだと説明しています。