――報酬をカットしても優秀な人材が集まるというのは、市場原理からすると逆のように感じます。それを実現できたのはなぜですか。

 政治家というのは、天下国家を語って仕事をするわけです。例えば大阪府議会も880万人の府民のために仕事をします。皆さんの生活を豊かにするということをどの政党も公約で言います。

 ただ、政治家になる前に自分の生活を豊かにできない人が、果たして他人の生活を豊かにできるのでしょうか。

 ですから、私が維新の会の幹事長として、候補者を選定するときに一番こだわっていたのは、政治家を辞めても食べていける人物かどうかということです。

――なるほど、逆ですね。政治家になっていい身分を手に入れるんじゃなくて、なる前から余裕のある生活を実現できている必要がある。

 そうです。政治家を辞めても人より豊かな生活を送れるだけの能力があるかがまず第1の条件。前にも言いましたが、橋下さんは10分の1、私が3分の1。維新の会の市議会議員、府議会議員も、政治家になって所得が下がったという人が多いです。

 そういう仕組みにしたほうが、よほどいい人が、私は政治家になってくれると思います。政治家という特権的な身分にこだわらない人にチャレンジしてもらうことができるからです。

維新の候補者と交わした
「生々しいお金の話」

 そう言うと、所得の低い人は政治家を目指したらいけないのかと言われます。目指してもいいのですが、その前に自分が豊かに自立できるための努力をしなさいと、私は思います。

 決して、お金持ちだけが政治家になれと言っているわけではありません。自分自身ができないことを、世のため、人のために実現すると言われても、説得力がないのです。

――候補者を選ぶための具体的な基準は何ですか。

 現在何の仕事をやっているか、どのぐらいの年収で働いてきましたかという収入の話です。

 維新の会も最初は政党助成金もないので、候補者が自分で資金を確保しなければなりませんでした。選挙になるとこのくらいのお金がかかるけれど、貯金は大丈夫かといった生々しいやりとりをしました。