そんな時代に求められるのは、多様な価値観を認め合いながら、みんなが主体的に考え、取り組んでいくことであり、自由で伸びやかな雰囲気を創出できるリーダーではないでしょうか。

 まさに「柔弱謙下」を実践できる人材が時代に求められています。

「弱さが必要な場面」が
必ずたくさんある

「強さ」は往々にしてポジティブに捉えられ、「弱さ」はネガティブに考えられがちです。

 しかし老子の言葉にもあるように、強さは「折れやすい」「他者を受け入れにくい」「みんなが安心できない」といった側面を持っています。

 一方「弱さ」は「柔軟で、しなやか」「他者を受け入れられる」「みんなを安心させ、力を発揮させる」という素晴らしい側面を備えています。

 マカロニだって茹でたてはフニャッとして柔らかい。

 しかし、時間がたつと水分が抜けてカチカチになってしまいます。そうなってしまうと、もうおいしくありません。

 老子は、柔弱なものは「生」の類に属し、堅強なものは「死」の類に属すとも言っています。たしかに生物の体は生きているときは柔らかく、死ぬと硬くなります。草も生きているときは柔らかいが、死ねば枯れてパリパリになる。

 柔らかく弱いことは、生きている証明でもあります。

 どちらがいい、悪いではなく、すべては相対的なものなのです。

 もし、あなたが「自分は弱い」と感じているなら、間違っても「弱い」イコール「ダメな人間」とは思わないでください。強さが必要な場面では、強い人に活躍してもらえばいいじゃないですか。それだけの話です。

 世の中には「弱さが必要な場面」が必ずあります。きっとそれは、あなたが想像している以上にたくさんあります。

 ですからむしろ強がるのは「損」です。

 弱い自分をうまいこと前に出していく工夫のほうが必要です。

<まとめ>
柔らかく弱いことは、生きているということ。むしろ弱いほうが、しぶとく生きられる。