PR会社社長のnotePR会社社長のnote

 と思っていたら、11月27日の定例会見で、斎藤氏はこのPR会社の投稿について「発信をするとも聞いてない。内容自体も一切確認もしていない」と述べた。これが事実かどうかというのはまだわからないが、少なくともこの記事の中に、斎藤氏側の評価や感謝の言葉がないということの説明はつく。

 いずれにせよ、あの記事の中に、斎藤氏によるPR会社社長への感謝のコメントや、SNS戦略の感想がまったく入っていない、ということは、実は今回の騒動を読み解く非常に大きな鍵のような気がしている。

 あの投稿内容を素直に読めば、PR会社社長のSNS戦略はクライアント、つまり斎藤氏から「望むような評価」を得ていない。PR会社社長は納得がいなかったはずだ。なぜここまで大きなことを成し遂げた自分を軽視するのだ。そのような不満が、斎藤氏側の意向を無視して、世間の評価獲得という暴挙に走らせたのではないか。

 それは裏を返せば、斎藤氏が、選挙後にPR会社の貢献に感謝して、彼らの承認欲求を満たすような何かしらのフォローをしていたら、このような騒動は防げていたかもしれないということだ。

 このように広報・PRを「軽視」する日本のカルチャーが、「SNS戦略は私が立案しました」「この番組は私が仕込みました」とSNSで暴走する「モンスター広報」を生み出してしまっている側面もある。

 組織のトップや幹部の皆さんは斎藤氏を他山の石として、「キラキラ広報」の不満が爆発して暴走しないよう、仕事の結果に見合う正当な評価をしていただきたい。

(ノンフィクションライター 窪田順生)

PR会社社長の自爆投稿は“斎藤知事の手落ち”?“キラキラ広報”が承認欲求を暴走させた本当の理由