7月上旬から始まったリクルートの「就活2ndステージ」に就活学生が殺到している。最初の1週間で昨年同時期の2.4倍に当たる約1万5000人もの応募があり、一部サービスが中止に追い込まれる事態となった。
この「就活2ndステージ」なるサービス、4月からの新卒採用第一陣で内定を獲得できなかった学生を対象に、1人に対して20社の中小企業を紹介するというものだ。企業に対しては2週間で32人の学生が紹介されてくる。いわば学生と企業の「結婚情報サービス」である。
サービスのミソは、成功報酬型であること。採用が決まった場合のみ、企業は1人当たり50万円をリクルートに支払う。そのため、知名度が低く資金的余裕にも乏しい中小企業にも利用できる。実際、このサービスを利用している企業の95%以上が、従業員300人以下の中小企業だという。
もっとも、今年の“成婚件数”は1000件程度、昨年の半分以下にとどまりそう。例年の2倍以上の学生が殺到している一方で、サービスを利用する企業は4分の1以下の600社に減る見込みだ。需給バランスが完全に崩れているのである。
「新卒採用などとてもじゃないけど無理という負け組、買い手市場となった今年は早々に採用できてしまったという勝ち組の両極が増えている」(リクルート担当者)ため、通常の年であれば人材確保に悩んでいるはずの中小企業の反応も鈍い。
昨年来の世界同時不況ですっかり冷え込んだ就活戦線。内定が得られないまま、夏本番を迎えてもリクルートスーツで汗まみれになって歩き回る大学4年生にとって、「就活2ndステージ」は最後の頼みの綱とはなりそうもない。
(『週刊ダイヤモンド』編集部 千野信浩)