テクニックやスキルだけでは
改革は長続きしない
稲盛 どんな巨大な会社であれ、人間の体であれ、現場の社員、末端の細胞まで自発的に生きて、それが全体として調和のとれた動きをするためには、すべての組織が同じ哲学、同じ意識を持ってやらなければならない。
みんなが同じ哲学を共有するためには、自分たちの組織の目的は、自分たち個人にとって良いことだというのが、前提でなければなりません。ですから、『全社員の物心両面の幸福』というのは、企業理念としてはエッセンシャルなもの、基本的なものなのですね。
だから現場の社員まで、本当に自分の会社だと思えるためには、「JALは自分を愛してくれる、自分を大事にしてくれる会社だ」という意識がなければならないと思ったので、JALグループ企業理念、JALフィロソフィづくりから始めたのです。
企業理念に会社の目的を明示することで、経営陣はその達成に「コミットメント(約束)」する。それによって社員も企業理念を信じ、意識が変わっていく。
何のため、誰がために企業理念があるのか。
一人ひとりの心を変え、高めていくために、まずは企業理念だったのである。
この新たなJALグループ企業理念、JALフィロソフィは、まず社員たちにどう受け止められ、どのように心と意識、行動を変えていったのか。次回は、その有様を中堅・若手社員の証言を軸にたどる。(次回は5月15日更新予定です。)
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2010年1月に会社更生法を申請、2012年9月に再上場を果たし、奇跡のV字回復した日本航空(JAL)。JALのスピード再生を支えたのは、「意識改革」と「部門別採算性」の二本柱とした稲盛改革。これらによって、社員、組織、会社はどう変わったのか。また、どうすれば自身の心を変えることができるのか。
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