投資をする場合は、商品を考える前に、必ず自分にあった資産の配分「アセットアロケーション」を設定しなければならない。また、資産をなるべく減らさず安定運用を求めるシニア世代に向いているのが、債券投資だ。情報がメディアで出回ることはほぼないが、投資額によっては安定して大きなリターンを得やすい債券投資の特徴について、金融の専門家が解説する。本稿は、西崎 努『やってはいけない資産運用 金融機関のカモにならない60歳からの資産防衛術』(アスコム)の一部を抜粋・編集したものです。
投資の成否は資産の配分
「アセットアロケーション」を設定する
シニア世代の資産運用において、まず何から始めるべきか。私がお客様と最初にするのは、資産の状況の把握と、具体的なゴールの確認です。ゴールとは次のようなことです。
・投資の目的(なんのために資産を運用に回すのか)
・投資の期間(何年くらい運用するのか)
・目標リターン(具体的にどれだけの利益が出ればいいのか)(具体的にどれだけの利益が出ればいいのか)
こうして丁寧に確認していくと、多くのお客様が、なるべく資産を減らさずに安心して老後の生活を送ることを希望されます。「増やせるだけ資産を増やしたい」という方はほぼいません。その必要がないからです。
残りの人生において、年間いくら程度の利益があれば十分なのか。そのために運用に回せる資産はどのくらいか。その資産に対してどれだけのリターンを求めれば、目的に適うのか。こうして現実的に求めるリターンがわかり、なるべくリスクをとらずに実現する「手段」を考えることができるのです。
では次に具体的な商品を選ぶのか...といえば、そうではありません。次にやることは「アセットアロケーション」の設定です。
耳慣れない言葉かもしれませんが、アセットアロケーションとは「資産(アセット)」の「配分(アロケーション)」という意味です。資産には、現金、株式、債券、不動産など、さまざまな種類があります。
これらのどの種類に、どの割合で資産を振り分けるかを考えるのがアセットアロケーションだと思ってください。
決して「○○ファンド」をいくら買う、といったような商品の選択ではないので、注意しましょう。
最初に確認したゴールに近づけるかどうかは、このアセットアロケーションで決まるといっても過言ではありません。