多くの担当者が商品販売の売り子
という残念な実情

 例えば、資産はあるけど「少しずつ増やしながら使っていきたい」「資産が減らないように守りたい」なら債券の配分が多くなったり、まだ資産が足りないので「とにかく大きく増やさないといけない」なら株式が多くなったりします。「もう高齢で資産を整理したい」なら、現金の配分が多くなるでしょう。実際にはお客様と相談しながら細かく決めていきますが、大雑把にいうとこのような考え方です。

 最初のゴール設定が曖昧だと、このアセットアロケーションから間違うことになります。例えば必要以上のリターンを求めると、本当は債券で十分なのに株式の配分が増えたりして、過剰なリスクを負ったりしてしまうのです。

 繰り返しになりますが、高いリターンを求めればそれだけリスクも大きくなり、ときとして大きな損失を出してしまいます。

 これを理解しないまま、「少しでも儲かればいい」といった曖昧な考えで投資しているシニア世代が多いのは残念なことですが、これは販売する側の提案姿勢にも責任があると思います。

 お客様の担当者となったなら、投資目的達成のためにお客様の金融知識を高める情報提供や、相場状況への対応のサポート、運用商品だけでなく資産全般のアドバイザーとなるべきです。

 しかし、現実には残念ながら多くの担当者が商品販売の売り子となってしまっており、お客様に商品を買ってもらうための提案をしていることも少なくありません。

 中には、お付き合いで投資をしているケースもあります。銀行からの借入金のある経営者や、証券会社の営業員と仲のいい高齢者などがよくお付き合い投資をしていますが、担当者が転勤するタイプだと運用している途中でいなくなってしまうので、注意しておきたいところです。

シニア世代に向いているのは
シンプルな債券投資

 投資提案は、金融サービスの1つです。本来であれば、お客様の投資目的を達成するためのアドバイスがその価値であり、適切なアセットアロケーションの提案と商品提供、保有商品の状況を判断するための継続したアフターフォローこそが担当者に求められているはずです。