Lalamoveはさまざまなイメージアップ活動を展開している。動画などのコンテンツをSNSなどで発信するのはもちろん、“推しドライバー総選挙”を開催したり、ワゴン車ドライバーが集まって手作り弁当を売るマルシェを開いたり、ゲーム企業とのコラボレーションによりLalamoveの車がレースゲームの中で走るようにしたり……と、さまざまな施策を行っている。これは2021年に長沙で起きた死亡事故や、低すぎる料金体系に不満を持つドライバーのストライキなどの問題への対応策でもある。また、中国社会に根強い、肉体労働への差別意識の払拭も目指している。
中国のシェアサービス業界に共通する激しい価格競争により、Lalamoveも9年間連続で損失を計上しているが、それを調達資金でまかなっている。それでも生き残れたのは、IPO申請前までに計7回、総額11億8500万ドルの資金調達を実施したからだ。その後も事業を継続、2023年には黒字化を達成している。
Lalamoveの海外展開、日本にもついに上陸
海外売上は全体の1割程度だが、中国で培ったサービスを各国向けにローカライズして展開している。フィリピン、タイ、ベトナムなどでも、Lalamoveの車両を見かけるようになった。特に新興国において現地産業の活性化に貢献している。中国発のサービスでありながら、進出先での雇用創出と物流環境の改善を実現しているのがLalamoveの特徴だ。
中国で成功したシステムを海外に持って行くというのは、響きはいいが実際には難しい。地理的環境、習慣、宗教、生活様式、通貨、言語などの違いに対応する必要がある。そのため、Lalamoveは各国に現地チームを設置し、現地出身の経営者を置いて、地域に適したサービスを提供している。
マレーシアでは「Just Lalamove it」というフレーズが浸透し、2018年に「5分マッチング、45分配送」という即時配送モデルを導入。建築資材業界や中小企業から支持を得て、クアラルンプール周辺から全土へ展開している。フィリピンのルソン島では、従来の「翌日配達」が主流だった物流環境を改善し、即時配送を実現。これにより家具製造業や農業生産者の事業拡大を支援している。最近ではアジアの西の端、トルコへの進出も報じられた。
そして実は、日本にも今年8月に上陸したばかりだ。基本配送料は1480円(2km未満)、2~15kmは1kmごとに150円の追加料金、15km以上は1kmごとに80円の追加料金で利用できる。今のところ、利用可能エリアは東京、神奈川、千葉、埼玉の一都三県となっている。「ちょっと荷物を運んでほしい」時に試してみるのもいいし、あるいは副業としてドライバーをしてみるのもいいかもしれない。