法改正やコンプライアンス改革によってホワイト企業が増えてきてはいるものの、残念ながらブラック企業はいまだになくならない。経営者のさじ加減一つで企業はあっという間にブラック企業に変貌する恐れもある。長年「ホワイト企業大賞」の選考委員を勤めてきた筆者が語る、ホワイト企業に共通する3つのポイントとは?※本稿は、辻 秀一『「機嫌がいい」というのは最強のビジネススキル』(日本実業出版社)の一部を抜粋・編集したものです。
「ホワイト企業大賞」創設の
きっかけはある経営者の一言から
「ホワイト企業大賞」の企画委員というのを拝命している。アイボなどのロボット開発をしてきた元ソニーの常務だった天外伺朗さんと、ネッツトヨタ南国の創業者でいらっしゃる横田英毅さんが代表をされている活動だ。
日本中のホワイト企業を表彰し、みなで一緒にホワイト企業の道を歩んでいこうという素晴らしい理念のもとで、多くの経営者が集まり、早10年が経過した。毎年、30社程度が応募され、2024年1月にも表彰式とワークショップを参加者全員で行った。この活動のストーリーをご紹介する。
「ホワイト企業大賞」の企画委員会は、未来工業の山田昭男相談役が亡くなった2014年の秋に発足した。当時すでに「ブラック企業」という言葉が市民権を得て、「ブラック企業大賞」の表彰がメディアで取り上げられていた。
そこで、「ブラック企業の対極はホワイト企業だ」とおっしゃった山田相談役の言葉を受けて、「ブラック企業より、ホワイト企業を探したい、増やしたい」という思いで、天外伺朗さんをはじめとした専門家有志が集い、ホワイト企業を「社員の幸せと働きがい、社会への貢献を大切にしている企業」と大きく定め、「ホワイト企業大賞」という表彰制度をはじめとした活動をはじめたと。
「ホワイト企業大賞」には評価基準はない。また、応募の組織形態は問わない。法人のほか、支店・部署単位での応募も可能だ。大賞の選考は、アルバイトやパート、派遣の方々もふくめた働く方々へのアンケート調査から、組織のホワイト企業指数「のびのび」「いきいき」「すくすく」の各因子の分布、組織の状態を測り、ヒアリングなどによって組織の特徴をうかがい、企画委員会で検討している。
経営者と働く人たちの思いと行動で育まれた、個性豊かなホワイト企業を探し、大賞のほか、組織の特長にフォーカスしたさまざまな賞を設けているのが、わたしたちの活動である。
ぜひ興味を持っていただきたい。