現代において、ハラスメントは大きな問題です。中でも「セクハラ(セクシュアルハラスメント)」は1989年に新語・流行語大賞に選ばれるなど、早くから認知されています。しかし、なかなか一掃されることはなく、度々SNSなどで話題に上がるほか、近年では女性から男性へのセクハラも問題として挙がっている状況です。そんなセクハラについて、『それ、パワハラですよ?』の著者で弁護士である梅澤康二さんと、本書でマンガを担当した漫画家の若林杏樹さん、元エリート幹部自衛官でひどいパワハラに苦しんだ経験を持つ会社員インフルエンサーのわびさんの3人で、座談会を行いました。「セクハラを受けた場合の対応」や「セクハラだ」と言われないために気をつけるべきことなどについてご紹介します。 (文/神代裕子、ダイヤモンド社書籍オンライン編集部)
セクシュアルハラスメント、どこからがNG?
――わびさんは管理職だそうですが、部下への対応でハラスメントにならないように気をつけていることはありますか?
わび:私自身、以前の職場でひどいパワハラを受けた経験があるので、自分がされて嫌な気持ちになったことは絶対にしないようにしています。
しかし、現在は管理職である以上、どうしても指導せざるを得ない状況もあります。ですから、その場合は周囲への配慮をしたり言葉遣いに気をつけたりするほか、相手の健康状態や心理状態などにも細心の注意を払うようにしています。
ただ、難しいのがプライベートに関する話。うっかり聞いたことを「ハラスメントだ」と思われるのは避けたいものです。そのため、私は相手が振ってきた話には乗りますが、自分からはプライベートに関する話題は振らないようにしています。
Xフォロワー18万人超えの会社員
日常の気づきを語ったつぶやきが10万超えいいね!を連発するなど、ネットニュースでも話題の人物。自衛官時代の壮絶なパワハラ体験と人生を生き抜く知恵をまとめた『この世を生き抜く最強の技術』(ダイヤモンド社)は3万部突破のベストセラーに。最新作『人生から逃げない戦い方』(扶桑社)も話題/イラスト:死後くん
――確かに、最近は部下にどのような話題を振ったらいいか悩む上司も多いと聞きます。「髪切ったね」と指摘するのもセクハラと言われると聞いたことがありますが、実際はどうなのでしょうか?
梅澤康二(以下、梅澤):「髪切ったね」くらいは問題ありません。ただ、そこに性的関心に言及する言動が加わるとアウトです。例えば「髪切ったんだね。彼氏と何かあったの?」と相手の交際に踏み込むようなことを言ったり、毎日「かわいいね、似合っているよ」と言ったりするなど、明らかにその人を狙っているのがわかるような言い方をしてしまうとセクハラに該当するでしょう。
弁護士法人プラム綜合法律事務所代表、弁護士
東京大学を卒業後、大手弁護士事務所アンダーソン・毛利・友常法律事務所に入所。同事務所を退所後、弁護士法人プラム綜合法律事務所を設立。人事労務分野での経験は15年以上。パワハラについてのセミナー、紛争等の対応も行う