小さな対話を仕掛けてみる
あなたの半径5m以内から、意見しやすい、聞いてもらいやすい組織風土を創っていこう。とはいえ会議でいきなり意見するのは憚られるかもしれない。そこで、まずは小さな対話を仕掛けてみよう。
社長や経営陣との対話会、あるいは上長との1on1などで伝えたり、社内の交流会や勉強会などで会った役員や他部署の管理職に直接言ったりするのでもかまわない。小さく自分の意見や思いを伝えてみよう。
その際、(いつものように)一方的な要求を押しつけられそうになったら、次の言葉を発してみよう。
「たまには私たちの意見も聞いてください」
「知っておいてほしいことがあります/ご相談があります」
少し弱気にいくなら後者がおすすめだ。このように相談モードで話を切り出す。一人では勇気が出ないなら複数名で実行するのもありだ。役割を分担できるし、劣勢になったときに加勢やフォローをしてもらえる。こうして仲間と共に意見を言う習慣を創ろう。
そもそも意見を言う文化/聞く文化がない組織に対しては、他者の意見を聞く発想を植え付ける働きかけをしよう。
「いったん、対話モードで聞いてください」
「対話モードで、あなたの話を聞きますね」
このように、「ここからは私の意見を聞いてください」「ここからはあなたが意見を言っていい場です」と、明示的に示す。「対話モード」、この言葉を多用し、あなたの職場の流行(はや)り言葉にしてほしい。
自由に意見を言える場や空間を創る
会議室の脇に小さくリフレッシュコーナーを設けてみる。「コミュニケーションスペース」など、対話を促す名前を付けてもよい。そこはお菓子をつまみ、コーヒーを飲みながら言いたいことを言ってよい場とする。会議では意見しにくくても、そこでは誰もが本音を言える/聞ける場だ。
思うに、ルールや役割に忠実な人が日本の組織には多いように感じる。だから「上司が偉い」「部下は発言してはいけない」と、とらわれてしまう。しかしそれは、裏を返せば「ルールを変えてしまえば素直に従える」ということでもある。この特性を利用しよう。
「ここでは上下関係は気にせず意見を言ってもよい」とルールを定めて明文化する。そうして気兼ねなく発言できるようにする。ルールでもって、理想的な行動習慣を創っていこう。
意見を言うための能力開発も忘れずに
もちろん、意見を組み立てる能力、示す能力、そして受け止める能力の開発も欠かせない。
「ロジカルシンキング」「クリティカルシンキング」「傾聴力」「ファシリテーション能力」。これらの能力は、意見を言う側/受け止める側の双方に求められる。本を読む、研修を受けるなど、能力開発の機会を創る、または利用することも大切だ。「研修を受けさせてください」などの声も積極的に上げていこう。
・小さな対話を仕掛けてみる
・対話する「モード」や「場所」を明示してみる
(本稿は、書籍『組織の体質を現場から変える100の方法』の内容を一部抜粋・編集して作成した記事です)