目上の方の自虐に
雑なリアクションは取りづらい
読者の皆様方には「そこまで気を遣う必要ある?」と思われているような気がするし、書いている自分も徐々にそういう気持ちになりつつある。だが、相手が気心の知れた人ならともかく、たいして親しくない目上の人だったりすると、やはり雑なリアクションは取りづらい。
私自身、自虐にうまく対応できたことはあまりないし、他人を見ていてもそうなのだが、過去にお一人だけ、この方面で「すごい!」と思わされた方がいる。今回は、私にとって“ヒーロー”となった、その人のことをお話ししたい。
その人の名はTERU。そう、あの大人気バンドGLAYのボーカリスト、TERUさんである。
10年以上前、テレビだったかネット配信だったかは忘れたが、TERUさんが氷室京介氏とサシで対談している番組を見たことがあった(注2)。その頃、GLAYが氷室氏をフィーチャーしたコラボ曲『Answer』をリリースしており、そのプロモーションの一環としての対談だったと思う。
私自身はGLAYと氷室氏についてすごくくわしいというわけではないのだが、GLAYのメンバーが氷室氏を最上級にリスペクトしているのは痛いほど理解していた。
読者にはさまざまな年代の方がいらっしゃると思うが、どの方も、多感だった10代の頃に聴いていた楽曲は強く印象に残っていると思う。音楽関係のお仕事をされている方なら、ほぼ間違いなく、その頃聴いた音楽に影響を受けているだろう。
(注2)
この対談を見てからかなりの年月が経っており、セリフの細かいところはうろ覚えなので、そのあたりはご了承いただけると幸いである。また、なんでTERUは「さん」付けで、氷室京介は「氏」付けなのか、一貫していないじゃないかと思われるだろうが、今回はこれで進めさせていただきたい。
理由は「なんとなくそう呼びたいから」だ。漫画『デトロイト・メタル・シティ』をご存じの方は、DMCのファンがクラウザーⅡ世とカミュを「さん」付けで呼び、ジャギを「様」付けで呼ぶノリと同じだと考えていただけるといい。ちなみに本文の後半では氷室氏のことをヒムロックと呼ぶことがあるが、これも筆者の「気分」である。