グーグル+クアルコム+サムスン共同の「Android XR」
そして、先日、Googleがクアルコムやサムスンとの共同プロジェクトとして発表した空間コンピューティングプラットフォームの「Android XR」には、これからの情報デバイスの進化の方向性をにらんで、visionOS対抗の体制づくりを急いだことが伺える。
同社は2013年に開発者向けの単眼式ARグラスのプロトタイプである「Glass Explorer Edition」を発売し、翌2014年から一般向けの限定販売も開始したが、プライバシーに対する懸念や社会的受容の問題から法人向け製品に注力するもプロジェクトを終息させた経緯があった。
だが、Googleは、OpenAIのSearchGPTなどの新興AI検索サービスの台頭によって、検索トラフィックと収益が減少するリスクに直面してきてきた。また、同社のチャット系生成AIであるGeminiの市場シェアは13.5%と、市場の6割を占めるChatGPTや、同じくChatGPTベースで15%弱のシェアを持つMicrosoft Copllotの後塵を拝している。そこで、Googleとしては、Metaと同じく、ユーザーの行動をスマートフォン以上に把握できるXR製品を、同社の生成AIのGeminiと結びつけて普及させることを重要視したものと思われる。
現時点で公表されている具体的な製品は、どちらもサムスンが開発中のXRヘッドセットとXRグラスで、前者にはクアルコムのSnapdragon XR2 Gen 2チップが搭載され、後者には同Gen 1チップが採用される見込みだ。しかし、2025年内の発売を予定していること以外の詳しい情報は明らかにされていない。当然ながら、XRヘッドセットには視力補正レンズも用意する必要があり、XRグラスは素通しのガラスだけでなく、度入りのレンズともイメージ投影を高度に融合させなくてはならないため、当初はそうしたオプションなしでのローンチも考えられよう。
また、価格的にはXRヘッドセットでApple Vision Proよりも安価になるとしてもそれなりの価格になることは避けられず、XRグラス共々、他の多くのメーカーが同レベルの製品をAndroidスマートフォンのように開発できるとは考えにくい。そのため、サムスンは、これらの製品の設計や必要なパーツをセットにして外販することを視野に入れている可能性もありそうだ。