古代日本では蛇が田を荒らすネズミを食べていたことで「水田を守る神」とされていました。また、同時に蛇=男根という連想から“種神”=穀物の神様としても崇められていたのです。

 皆さんも神社でしめ縄を見たことがあるかと思います。しめ縄の形は“蛇の交尾の姿”であるという説があるように、それほど人々は蛇を神聖視してきたのです。儀式を整え、神霊を慰め、祈願するという意味の「祀り」という字に「巳」が入っているのも、蛇が自然神として崇められていたからです。

 日本にも有名な大蛇がいます。古事記にも日本書紀にも登場する八岐大蛇(ヤマタノオロチ)です。古語ではオは「山の峰」、ロは助詞、チは「激しく勢いがある」という意味ですから、人々は連なる山の峰々に大蛇の姿を重ねていたことがうかがえます。 

 やがて「蛇」は中国から伝わってきた「龍」と習合していきます。中国では龍は水に関係する動物でしたので、蛇は龍神のお使い、もしくは水神そのものとみなされるようになりました。

 記紀神話の中では、8つの頭を持つ八岐大蛇はスサノオノミコトに退治され、9つの頭を持つ九頭竜はヤマトタケルノミコトに退治されます。これは龍蛇の全身が川と尾根を表していたとみられ、この2柱の神様が治水事業を行ったとも考えられています。ちなみに、この八岐大蛇の尾から出た宝剣が草薙剣(クサナギノツルギ)です。

 さらに、蛇への信仰はインドの河の女神・サラスヴァティーとも習合してます。河の曲がりくねった流れと蛇の体が似ていることから結びつきが強まっていったようです。サラスヴァティはイチキシマヒメノミコト(アマテラスオオミカミの弟神であるスサノオノミコトの剣から誕生した宗像三女神のひとりで水の神様)と次第に同一視されるようになり、仏教の影響も受けながら、やがて弁天様(=弁才天・弁財天)として信仰されるようになりました。

 こうして、稲作文化がある日本では水神であり穀物神である「蛇」は海外の神様とも習合しながら、ありがたい神様として信仰されてきたわけです。

 さて、巳年の意味をお分かりいただいたところで、2025年に行くと運気が上がる神社をお教えしましょう。「巳」は「実」の掛詞にも当たるので、巳年はこれまでの努力が実を結ぶ年ともいわれています。年のはじめにお詣りするのはとても良いことです。