仲間はフィフティ・フィフティであるべき

 チームを組むときや仲間を集めるとき、重要なのはどういう要素でしょうか。

坂之上 さきほど言ったように、自分よりも優秀な人を集めること。感性や価値観の一致も大事だと思う。あと、私は参加してくれる人がここで得るものがあるかということを常に考えるようにしています。このプロジェクトに入ることによってその人がプラスの何かを得られていないようなら、その人には頼まない。というのか頼めない。プラスというのは、友達関係かもしれないし、人脈かもしれない。報酬かもしれないし、経験かもしれない。なんでもいいのですが、私は、巻き込む人のメリットは何かいつも考えてお誘いしているんです。

 メリットがあっても、世の中の大半はどう一歩を踏み出したらいいのかわからないという人たちも多くいるのだと思うのですが、そういった方にはどんなアドバイスをされますか。

坂之上 「どうすればいいかわからないなら、雑用をやってみる」かなぁ。まずは自分の好きな人たちに巻き込まれてみるといい。最初は突然来ても使ってもらえないと思うんですよ。だから、まず役に立つことをする。掃除でもいい。役に立つことをして、その場に存在しておくのが大事だと思うのですね。そこにいれば,そのうちに「これ、やってみる?」みたいなチャンスが必ず来る気がします。

 自分が得るよりも先に、相手にハッピーを与えると。僕もそう思います。とにかく巻き込まれろ、と。やりたいことがわからないなら、面白そうなことにボランティアしちゃえ。そこは同じような考え方ですね。

坂之上 そう。ただ、ひとつ強調したいのは、そこで巻き込まれても、利用されてはいけないということ。自分が心の底で「気持ち悪い!」と感じたら逃げる。特に女性は、それを最後まで耐えてしまいがちなんです。そこはやはり、心がフィフティ・フィフティであるべきかな、と。

 雑用をしたら、そこで、もらえるものは、報酬かもしれないし、経験かもしれない。たとえばプロを間近で見ることによって得られる経験って大きいですよね。または、心からのお礼の言葉かもしれない。巻き込まれて得るものは何でもいいんです。けれども、双方の心のトーンが同じであることが大事。

 つまり、他の人が見たら一方的に使われているように見えても、本人が修行だと思って納得していてバランスが保てていたら、それでいいと思うんです。心の奥で勉強になる、楽しいと思っている限り、基本的にはオーケーなんです。でも心が曇ったら、その場にい続けてはいけないと思う。

 自分は何がしたいのか、いまは何をすべきなのか、と。

坂之上 そう。そして自分の気持ちに沿った行動をする。私は本当にそこに忠実でありたいの。名誉よりも、権力よりも、報酬よりも、人。誰といたいのか、誰と一緒に仕事したいのか、に正直に生きる。

 それを本当に本気でやるのは、最初はできないことだけど段々できるようになっていくんじゃないかなぁ、と思うんです。人生は「選択」でできているから。

巻き込まれても、利用されてはいけない<br />――プロジェクトに貢献し、自分が成長するために大切なこと<br />【経営戦略ストラテジスト 坂之上洋子<br />×ビズリーチ代表 南壮一郎】(後編)対談後のお二人。坂之上さん、南さん、ありがとうございました!

→次回は、nanapi代表取締役、古川健介氏をお迎えする予定です。お楽しみに!(次回は5月17日更新予定です。)


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