予備軍が多い糖尿病。健康診断の結果などから、気にしている人も少なくないだろう。しかし、糖尿病でやっかいなのが、自覚症状がほとんどない点だ。今回は見落としてはいけない初期症状となる危険なサインを紹介する。本稿は、矢野宏行(Dr.ゆきなり)『自分でできる!薬に頼らない糖尿病の大正解』(ライフサイエンス出版)の一部を抜粋・編集したものです。
糖尿病は完治しないが
薬がいらない生活は送れる
Q「糖尿病は治る病気でしょうか?」
A「糖尿病は完治することはありません。しかし、生活習慣由来の2型糖尿病であれば生活習慣を改善することで薬に頼らない生活を送ることができる『寛解』を目指すことはできます」
毎年3000人以上の糖尿病患者さんを診る中で「糖尿病はいつになったら治るんですか?」「糖尿病が治るとはどういう状態ですか?」という質問をよく受けます。
そうした質問に対し、私は「糖尿病は完治することはないけれども、生活習慣由来の2型糖尿病(編集部注/遺伝的要因と生活習慣の乱れが原因で発症する、最も多い糖尿病)であれば治療や生活習慣の改善によって健康な人とまったく変わらない生活ができる」とお伝えしています。そこで、糖尿病が完治しない理由や健康な人と同じ生活を送るにはどうすればよいのかについて解説したいと思います。
実は糖尿病を治療する際に医師が参考にする指針『糖尿病診療ガイドライン』には、糖尿病が完治した場合の基準が明確には定められていません。そのため、仮にあなたが生活習慣を見直して血糖値が正常になったり、薬が必要なくなったりしても、医師から「糖尿病が治りました」と言われることは決してありません(ただし、妊娠糖尿病など一部の例外がある)。
また、糖尿病が治らない理由の1つとして体質に大きく左右される病気だということがあります。例えば、骨折をして完治すれば、これまでと同じような生活に戻ることができますが、糖尿病の場合は、たとえ血糖値が一時的に改善しても、高血糖になりやすい体質であることは変わりません。そのため、生活習慣をもとに戻してしまえば、血糖値も戻ってしまいます。
寛解に該当する患者は
年数回の通院でOK
実際、糖尿病が良くなった患者さんの中には気が緩んで運動をさぼったり、食べ過ぎたりしてしまう方がいます。すると、血糖値がリバウンドして以前よりも上がってしまうことさえあります。