このように糖尿病は自分では気づきにくい病気ではありますが、前兆となるサインはないのでしょうか?
まず、糖尿病の初期症状(表2)として多いのが頻尿と喉の渇きです。
糖尿病になると血液中の余剰なブドウ糖を尿として排出しようとするため、トイレの回数が増えます。頻尿は体内から水分が必要以上に排出されてしまう状態のため、喉の渇きを通常よりも感じやすくなり、脱水症状を引き起こす可能性もあります。
矢野宏行(Dr.ゆきなり) 著
また、寝ても疲れがとれなかったり、十分な睡眠を取っても日中にだるくなったりするのも糖尿病の初期症状の1つです。こうした症状は糖尿病でなくても感じることがあるので異常とは思わないこともあるかもしれません。しかし、糖尿病はインスリンが減ったり、働かなくなったりすることで糖を細胞内に取り込めずに高血糖になってしまう病気です。そのため、肝臓や筋肉の細胞にエネルギーが届かず、だるさや疲労感を感じるようになることがあるのです。
傷が治りにくかったり、皮膚がかゆくなったりする場合も糖尿病を疑うきっかけになります。糖尿病は動脈硬化が進む病気のため、血行が悪くなり、傷を治すために必要な栄養素や酸素を運びづらくなってしまいます。高血糖には炎症反応を促す作用もあるので、よりいっそう傷が治りにくい状態が維持されてしまうこともあります。なお、皮膚のかゆみは糖尿病に伴う脱水による乾燥などが原因のため、水分補給に注意しましょう。
また、手足の感覚が麻痺したり、チクチクとする痛みがあったり、目のかすみがあったりする場合なども注意が必要です。男性の場合はED(勃起障害)が糖尿病と関連している場合があります。
これらは糖尿病の初期症状であると同時に合併症を発症しているサインでもあります。