結果を見ると、サイゼリヤは中国本土でこの第一四半期に1割ほど店舗数を拡大して攻めに出たのですが、既存店売上高は逆に1割ほど減ってしまいました。
さて、その意味するところを考えてみましょう。慌ててサイゼリヤの株を手放すのはまだ早いかもしれません。3つの視点からサイゼリヤの未来を予測してみます。
視点1
中国経済の先行指標としてのサイゼリヤ
中国経済は実態として、明らかに景気減速に向かっています。ショッピングモールの混雑具合を見ても、ネット通販の売上高が最高になる独身の日(11月11日)の狂騒度合いを見ても、明らかに直近と1年前では勢いが違います。
ただ公式な統計としては中国の1~9月の経済成長率は4.8%と中国経済は成長している様子です。国内で自動車が売れなくても、アジアや欧州に輸出して売り上げを伸ばしているので、成長率自体はそういうことなのでしょう。国内の成長率がどれくらい下がっているのかは統計からは読み取りにくいのです。
一方でサイゼリヤの既存店売り上げを見ると、2024年3月が減少への転換点だったことがわかります。中国でサイゼリヤの売り上げ規模が一番大きい広州では、3月から始まる第三四半期で前年比99%と既存店売り上げの減少が始まり、第四四半期で93%、今回の第一四半期で88%と減少スピードが速くなっています。この傾向は上海でも北京でも同じです。
このことから、やはり中国の消費者の財布のひもが固くなっていることがわかります。中国の国内消費がかなり悪くなってきていることは明白で、サイゼリヤの既存店売り上げは中国経済を占う経済の先行指標として使えるのではないかというぐらいに感じられます。
ただし、この段階ではまだサイゼリヤの未来がプラスなのかマイナスなのかはわかりません。別の指標で比較してみないと結論を出すのは早いのです。
視点2
サイゼリヤの稼ぎ頭は「依然、中国」
ここまでの話では、サイゼリヤの稼ぎ頭だった中国市場で消費減速が落ちていて、既存店売り上げが1割減少したという話です。
ところが興味深いことに、それでもまだサイゼリヤの稼ぎ頭は依然として中国本土です。