AIエージェントは必ず登場するし、どんどん性能が向上し、すぐに「バーチャル同僚」となるだろう。人間のクリエイティビティを必要としない定型業務はどんどんシフトしていく。それどころか、来年にはクリエイティビティの領域にも生成AIが手を伸ばしてくるかもしれない。
人間は、「AIが仕事を奪う!」と心配するのではなく、より付加価値の高い業務にシフトする必要がある。たとえば、デジタルマーケティングではショート動画制作の自動化がさらに進み、AIがシナリオや映像演出を考え、音楽や字幕まで一括で生成する。人間はその最終的なクオリティコントロールや、創造的なアイデアの発想に注力できるため、コンテンツの量産と質の向上を同時に実現できる。企業の70%以上がAIを導入し、社内教育プログラムを通じてAIリテラシーを高めるという予測もあり、「AIと協働する」ことが当たり前の時代になると予想する。
データセンターが消費する電力の巨大化にどう対応?
もちろん、課題も山積している。急速に増大するAIデータセンターの電力消費だ。2030年頃には世界のデータセンターが消費する電力が全体の10%近くに達すると予測されている。サステナブルなAIを支える新たな技術や取り組みが必要となるだろう。
また、生成AIが生み出すコンテンツの著作権や、ディープフェイクなどの不正利用を巡る倫理的問題も深刻化することは間違いない。まだ表沙汰になっていないだけで、現時点でも裏側ではとてつもない量の著作権侵害、肖像権侵害のコンテンツがあふれかえっている。各国政府や業界団体がルール策定を本格的に進めつつも、AI技術の進歩のスピードが速すぎて追いつけないケースも出てきそうだ。しかし、社会全体がAIを安全かつ公平に活用するための仕組みを構築する必要性については、すでに広く合意が得られているため、今後は規制とイノベーションのバランスをどのように取っていくかが大きな論点になるだろう。
生成AIの登場は、産業革命にも匹敵するインパクトだった。2025年はより社会全体に大きく影響していくことは間違いない。人間の暮らし方や働き方を根本から変えるステージへと突入すると考えられる。高度化したAIエージェントが実用レベルに達したとき、企業だけでなく個人の生活や創造活動にも新しい可能性がもたらされることだろう。
2023年にはハルシネーションリスクを懸念していたのに、2025年にはバーチャル同僚といかに協働するか、というところまで来ている。今、我々はかつて経験したことのない大変革のさなかにいる。日本人は生成AIの活用率が低いとのことだが、読者の皆さんにはぜひ、この流れに乗っていただくことを強くお勧めしたい。