内発的動機とは、そもそも内側から湧き起こるもので、マネジャーが外側から与えることができるものではありません。
そこで、このステップのキーワードとなるのが「内面化動機」です。
正確には「内面化された外発的動機」なのですが、内発、外発に続く3つ目の動機として広く知っていただく意図で「内面化動機」と私たちが独自に呼んでいます。
最初は外から来たものでも、しっかりと内面化されて取り組めている状態を指します。メンバーのキャリアの目的や持ち味と照らし合わせて、「自分がやりたい仕事」という意味付けができている状態です。
またメンバー自身が、自分の力でさまざまな仕事に対するモチベーションをコントロールできるようになるとチャレンジできる幅がどんどん広がります。それは可能性が広がることでもあり、変化の時代に欠かせない力となっていきます。
「成功思考」ではなく
「成長思考」を育む
「成功体験が人を変える」。よくいわれることで、確かにそうだと思います。私自身、営業時代の強烈な成功体験が、今でも自信の源泉になっています。
しかし、成功にとらわれてしまうと、往々にして「成功体験のジレンマ」に陥ります。これは、成功体験の後に失敗を恐れるようになることで、成功できる仕事を、成功できる方法でやる傾向が強くなる状態です。
ここで重要なのは、自己効力感(セルフ・エフィカシー)を高めることです。
自己効力感とは、心理学者でスタンフォード大学教授のアルバート・バンデューラにより提唱された概念です。難しい問題があっても何とかできるという自信のような感情をいいます。
成功体験からも自己効力感が育成されますが、実は失敗体験からも育てることができます。失敗体験でも、そこから学び、次こそは成功できるという内省ができれば、自己効力感につながるのです。
大きな成功はキャリアにとって大切な経験となりますが、どこかでそこを抜け出し、どんな経験からも成長する体質へと進化する必要があります。
結果に一喜一憂する人財ではなく、プロセスの質を高めることができる人財に意識を変えていく。難しい仕事にチャレンジすれば成功は約束されていませんが、精いっぱい取り組めば何か成長することは約束されています。こういう考え方を、「成長思考」といいます。