しかし、わたしたちの肝臓にとっては、迷惑千万もいいところ。果糖はさまざまな糖の中でもひときわ肝毒性が強く、果糖ブドウ糖液糖には50%以上90%未満の高い割合で果糖が含まれています。しかも、ここまで多数の食品に使われているとなると、知らず知らず口に入ってくる果糖ブドウ糖液糖も相当な量になるでしょう。

 すなわち、日々少量ずつ摂ってしまった果糖がたまって肝臓に悪さを働き、「気がついたらいつの間にか脂肪肝や脂肪肝炎がかなり進んでしまっていた」といった事態になることも十分考えられるわけです。

 ですから、わたしたちは、果糖ブドウ糖液糖が含まれている食品の摂取には十分注意を払う必要があります。

 まあ、「気をつけろ」とは言っても、日々の食生活から「すべての果糖ブドウ糖液糖を追い出そう」としたら、食べられるものが何もなくなってしまうかもしれません。だから、どんなものに多く含まれているのかをおおまかに把握したうえで、(無理にすべてをカットしようとするのではなく)自分がカットしやすい部分をカットしていく、という姿勢をとるといいでしょう。

肝臓を守るためにすること
「甘い飲み物をやめる」一択

 私はやはり「甘い飲み物をやめる」という作戦を徹底するのがもっとも効率的かつ効果的だと思います。それだけで体内に入る果糖ブドウ糖液糖を大幅に減らせるのは疑いありません。何にでも入っている悪玉糖・果糖ブドウ糖液糖による肝臓へのダメージを減らすには、これこそが最上の作戦ではないでしょうか。

 私はよく、講演に呼ばれたときに「(1)皮をむいたオレンジ」「(2)絞ったオレンジのスムージー」「(3)果糖ブドウ糖液糖入りのオレンジジュース」「(4)濃縮還元100%オレンジジュース」の写真をスライドに映し出し、「どれがいちばん健康にいいと思いますか?」という質問を聴衆の方々に投げます(図1)。

図1:同じオレンジでも「液体のもの」には注意同書より転載 拡大画像表示