医師が反省している
100%オレンジジュースの一気飲み

 ただ、ここで白状しておくと、じつは私自身、10年ほど前までは「濃縮還元100%オレンジジュース」が大好きで、手術が終わった後などに500mlボトルを一気飲みしていたのです。あの甘さと酸っぱさが手術のヘビーな疲れをスカッと吹き飛ばしてくれる感じがあって、一時期は毎日のように飲んでいました。

書影『甘い飲み物が肝臓を殺す』(幻冬舎新書)『甘い飲み物が肝臓を殺す』(幻冬舎新書)
尾形哲 著

 もちろんその頃は、脂肪肝治療やスマート外来を始める前であり、「この飲み物が肝臓を破壊する誘導ミサイルになる」なんてまったく頭の中にありませんでした。それにしても、長丁場の手術の後、空腹の状態で100%オレンジジュースを一気にガブ飲みしたりしたら、糖の吸収がめちゃくちゃ速くなって血糖値も急上昇してしまいます。肝臓に向かう果糖濃度もものすごく高くなるでしょう。当時は、疲れた体によかれと思って飲んでいたのですが、いま考えてみると、“肝臓にとっていちばん悪いパターンの習慣だったなあ”としきりに反省しております。

 もっとも、その頃の私と同じように、「おいしい」「疲れが吹っ飛ぶ」「スカッとする」といった思いから、甘い飲み物と離れられなくなっている方は相当数いらっしゃるのではないでしょうか。

 いまからでも遅くはありません。反省をして行動を変えるなら、早いほうがいいと思います。「生命力の源泉」である肝臓を脂肪まみれの機能不全状態にしないため、わたしたちが真っ先にやめなくてはならない行動は何なのか――。もうみなさんは言われなくても十分にお分かりですよね。