さらに、医療業界についての知識を深めるために医療機器の学会に足を運び、競合調査や最先端医療機器について学んでいました。出張が多過ぎて上司から叱られたこともありましたが、現場に出向いたり学会に参加したりして知識を身につけようとする人事担当は珍しく、営業マンたちに一目置いてもらうきっかけになりました。

 また、グッチやラッシュに勤務していたころは、休みの日は店舗の様子を見に行っていました。どのくらい繁盛しているのか知りたいし、店舗の雰囲気や従業員の様子も確認しておきたいと思ったからです。

 このように、現場の状況やビジネスの最先端を知りたいと考え、その努力を努力と思わない私の性格・特徴は、まさに「利き手で字を書くこと」と同じだと思います。他の人がかんたんに真似できることだとは思いません。

1つを磨く?変化球?
苦手を克服する方法

 強みがわかったら、あなただけの強みを活かした目標を設定してみてくだい。あなたにとってどのような目標なら達成するのに無理がないのか、もう見えてきているはずです。

 一方で、パーパス(編集部注:「社会にどのような良い影響を与えたいのか」「どんな社会をつくりたいのか」という企業や個人の中心にある理念・目標)の実現のためには、強みを活かすだけでなく、苦手を克服しなければならない場合もあります。

 この強みを活かした目標と、苦手なことに挑戦する目標、どの目標を中心に据えるべきなのかは、人によって違います。野球のピッチャーでたとえるなら、フォーク1種類を磨きに磨いて勝負するタイプなのか、多彩な変化球を織り交ぜて勝負するタイプなのか、というくらいに違います。

 自分は1つに特化するのか、苦手を克服していろんなことができるようになるのか、どちらを選んだほうがよりパーパスに効果的かつ効率的に近づけるか、考えてみてください。

 ここで1つアドバイスするとすれば、「英語ができる」「マーケティングの知識がある」といったようなスキル知識の話は別として、その人の特性や個性に関する強みと伸びしろは「表裏一体」であるという意識をしておきたいところです。