目標達成の秘訣は「1つに絞る」こと!成功のための目標設定術写真はイメージです Photo:PIXTA

複数の目標を同時に掲げることは認知負荷を高め、注意が分散するため、結果的に成功が遠のいてしまうという。世界初の行動洞察チーム「ナッジ・ユニット」で活躍してきた行動科学の専門家が、達成の可能性がアップする目標設定のコツを伝授する。※本稿は、オウェイン・サービス著、ローリー・ギャラガー著、国枝成美訳『根性論や意志力に頼らない 行動科学が教える 目標達成のルール』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を抜粋・編集したものです。

目標はひとつに絞り込んで
到達点と達成期限を設定する

 ここでひとつ想像してみてほしい。あなたはインドに住む農業労働者ないし工場労働者だ。

 幼い子どもたちを抱え、給料は数週間ごとの現金払い。町で一番の金持ちとはいかないが、家計が火の車というほど困窮しているわけでもない。幸い、質屋に借りがあるわけでも、離れて住む親戚の生活の面倒を見なければいけないわけでもないからだ。だが、貯蓄はしたい。

 そこで、お金を貯めるにはどうしたらよいかを、信頼できるファイナンシャルプランナーに家族でいつでも相談できるというプログラムに参加することにした。

 そのファイナンシャルプランナーによれば、貯蓄にまわす額を最大化したいなら、明確な貯蓄目標をひとつに絞るべきだ、という。

 あなたには子どもがいるため、教育費を貯蓄目標にするのがよさそうだ。このような目標設定の仕方が実際に貯蓄を増やすことにつながるかを検証するため、これから半年間、あなたの支出と収入と貯蓄はモニターされるという。

 これと似たもうひとつのシナリオを考えてみよう。あなたはまったく同じ助言を受けるが、貯蓄の目標はひとつに絞らず、今後お金が必要となるあらゆる事柄をすべて目標にすべきだといわれるとしよう。つまり、子どもの教育費に充てるためだけでなく、たとえば、今後必要になるであろう医療費や老後の備えも貯蓄目標に入れるよう勧められるわけだ。