業務命令で残業を拒めるケースとは?
カタリーナ「こんにちは!社労士のカタリーナです。今日はどんなご相談かしら?」
葛城「聞いてくださいよ。20代の部下がプライベートを大事にしたいから残業はやらないって言うんですよ。そんな身勝手、許されないと思いませんか?懲戒処分モノですよね!」
語気を荒げて、葛城は今日あった出来事を一気にカタリーナに説明した。
カタリーナ「なるほど。それで、あなたは懲戒処分でお灸を据えたいってことね?」
葛城「ええ。そもそも一社員の分際で、残業を拒否するなんてあり得ないでしょ!」
カタリーナ「それがあり得るのよ。正当な理由があればね」
葛城「えっ!? それはどんな場合ですか?」
カタリーナ「例えば体調不良の場合、会社は安全配慮義務があるから無理強いはできないわね。妊娠中や産後1年以内の場合、また育児や介護を理由に残業免除の請求をしている場合も免除する義務があるわ」
葛城「そういう理由だったら、理解はできます。でも、彼の場合は体調不良でもなければ、育児でもありません。独身ですしね」
カタリーナ「あとは業務上の必要性がない場合も、残業を命じることができないわ」
葛城「業務上の必要性は、もちろんありますよ。納期に間に合わせるために、みんな頑張っているんですから」
カタリーナ「あなたの職場では、恒常的に残業が続いていたようだけれど。きちんとマネジメントはできているのかしら?」
葛城「そ、それは……。受注が重なれば仕方ないでしょう。顧客からの急な仕様変更もよくありますしね」
カタリーナ「あとは36協定の上限時間もポイントよ」
葛城「36協定?」