「30年ぶりにマクドナルドへ入った」女性

【マクドナルド】たった240円で「最強のハンバーガー」を注文できる裏ワザ、コスパ良すぎて感動するPhoto by Kenichi Ogura

 これほどの価格差を前にすると、パサつきに不満を抱く消費者も、一概に批判することはためらわれるはずである。そもそも半額以下の価格帯で提供される商品を、単純に味や品質で比較する行為そのものが適切ではない。

 安価で手軽な食事を提供するというマクドナルドの存在意義を理解する消費者もいれば、高価格でも質の高い食体験を求める消費者もいる。こうした違いが、マクドナルドを好む層とモスバーガーやフレッシュネスバーガーを好む層の分かれ目となっている。

 低価格帯の商品に対する不満や満足感は、個々の価値観や期待値によって大きく異なる。食事において、価格や品質がどの程度重視されるかという選択肢が、各ブランドの特色を際立たせているのだろう。

 結果として、マクドナルドのパサつき問題は、圧倒的なコストパフォーマンスの前では、大半の消費者にとって許容範囲となるのが現実である。ハンバーガー市場における、それぞれのポジショニングの妙といえる。

 昨秋の衆議院選挙中に取材で香川県を訪れ、玉木雄一郎氏の事務所開きに足を運んだ際、周囲にカフェが見当たらなかった。打ち合わせのため立ち寄ったのは、ショッピングモールらしき施設の駐車場にあるマクドナルドだった。

 相手はある程度の地位にある女性であり、「30年ぶりにマクドナルドへ入った」という感想を述べた。発言の真意は不明だが、マクドナルドを選択肢に含めない生活を送る人々が一定数存在するのは明白だ。

 価格帯や商品の嗜好性、ターゲット層との親和性が理由かもしれない。マクドナルドは低価格で手軽な食事を提供する一方、高価格帯や健康志向を求める層には訴求しにくい側面を持つ。

 特に年齢や社会的地位、生活スタイルが異なる人々にとって、ファストフード店が日常的な選択肢にならない現実も考えられる。「30年ぶり」という発言は、個人の生活習慣や価値観を反映したものといえる。