【落とし穴1】
文章を作成する目的の確認不足

 1つ目の落とし穴は、その文章を作成する目的がずれてしまうことです。

 業務で作成する文章は、その状況ごとに目的があります。しかし、参考にしようとしているテンプレートや以前使用した文章は、今回文章を作成する目的に合致しているとは限りません。

 例えば、『入金督促の文章』といっても、相手が「初めて入金遅れを起こした顧客」か「複数回の入金遅れを起こしている顧客」かでは、その文章における目的が変わるはずです。

 前者であれば請求書の不達など、トラブルの可能性も考慮した入金依頼になるでしょうし、後者であれば今後の入金漏れを防ぐために業務フローの改善を依頼することも必要になるでしょう。しかし、そのときの目的を認識できていないと、テンプレートそのままの入金督促だけの文章や、以前作成した文章の宛名だけを変えたような文章を作成してしまいます。

 特に業務経験が浅い人の場合、指示された文章を作成すること自体が目的となってしまい、何のために作成するのか、という視点が抜け落ちていることもあります。

 この落とし穴を回避するためには、その文章を作成する目的・背景などの認識を事前にすりあわせることが必要です。誰に・何のために・いつまでに……など5W1Hに沿って確認することで、文章を作成する目的をしっかりと把握させることができます。

【落とし穴2】
読み手を意識していない情報収集

 2つ目の落とし穴は、テンプレートなどの項目に合わせた情報しか準備しないことです。

 先ほどの入金督促であれば、文例にある項目に合わせて、未入金額と、入金期日くらいしか確認せずに書きだしてしまいがちです。ですが、1つ目の落とし穴を回避し、文章を書く目的が理解できていれば、必要な情報はもっと多くなるはずです。

 初めて入金遅延した顧客であれば遅延時の入金方法を知らないかもしれませんし、業務フロー改善を依頼するのであれば、こちらの請求フローを伝えることも必要かもしれません。業務上作成する文章は、読み手に行動を促すことを目的としたものです。読み手が具体的に思考したり行動したりするために、必要な情報がそろっていなければ目的を果たすことはできません。

この落とし穴を回避するためには、読み手がどのように思考・行動するかを具体的に想像して、読み手にとって必要と思われる情報は、すべて事前に準備するよう指導することが重要です。