落とし穴3
読み手を意識していない文章構成
3つ目の落とし穴は、テンプレートや前回作成した文章の構成のままで書いてしまうことです。同じ文章でも読み手の持っている知識・情報の違いによって理解できる内容に差が生じます。
例えば、普段から一緒に仕事をしている相手に対しての報告であれば、結論から書いていてもストレスなく理解してもらえます。ですが、普段一緒に仕事をしていない読み手であれば、まずは現状を伝える事実ベースの情報がないと、報告内容を理解するのに手間取ってしまいます。このように、読み手に合わせて構成を変えないと、読み手にとって情報不足・説明不足の文章になってしまうのです。
ちなみに、テンプレートはある程度汎用性が高くなるように構成が考えられているものです。しかし特定の読み手のために考えられたものではないため、理解しにくく感じさせてしまうことがあるのです。
この落とし穴を回避するには、読み手の立場で、理解しやすい内容の順序(=構成)を考えるよう指導することが効果的です。すでに2つの落とし穴を回避できていれば、文章の目的に合わせた必要な情報は手元にそろっているはずです。それをどの順番で伝えるべきか、文章を組み上げるための設計図を書きだす前に準備することが重要です。
これまで、「読み手にとって情報不足・説明不足」の文章になってしまう3つの落とし穴と、それを回避するためのポイントをお伝えしました。
1. 文章を書く目的
2. 目的に合わせた情報収集
3. 読み手に合わせた構成
これらは、わかりやすい文章を書くために欠かせないものです。もちろん、テンプレートや過去の文章の使い回しは、効率的な文章作成に有効な手段です。問題なのはそれを上記ポイントに基づいて修正しないまま利用してしまうことなのです。
今後、文章作成を指示するときは、この3つのポイントを意識してみてください。文章チェックの観点が職場で統一されるだけでも、読み手のストレスは減っていくはずです。皆さんの職場における文章に関する問題が少しでも減っていくことを心より願っています。