個人事業主は、原則として24年分の所得税の確定申告時に、定額減税分の特別控除を所得税額から差し引く。給与所得者や公的年金受給者については、特別な手続きをせずに特別控除を受けられるが、個人事業主の場合は異なる

 この定額減税の適用は24年分の納税額に基づいて決定される。なお、23年分の納税額が15万円未満の場合、予定納税額はないものと見なされるため、24年分の確定申告時に定額減税を申請することになる。「申告書での記載手続きを誤ったり、怠った場合は減税を受けられない可能性があるため、注意が必要」と、弥生プロダクトマネジメント部の波多江友香氏は話す。

 一方、事業が赤字、または事業による収入がないなどの理由で所得が発生しない場合、対象となる税額自体が存在しないため、定額減税の適用外となる。

予定納税か、確定申告か
対応が異なる点に注意

【ケース1】予定納税対象者で扶養家族がいない

 予定納税とは、前年の所得金額や税額に基づく予定納税基準額が15万円以上の場合、事前に納税を行う制度である。所得税および復興特別所得税の一部を、確定申告より前に納める必要がある。

 予定納税は例年、7月に1回目、11月に2回目が行われる。それぞれの回で、予定納税額の3分の1を納付する仕組みだ。

 例えば、24年7月に予定納税をした個人事業主については、その納税金額を減額する形で定額減税が実施される。1回目の予定納税で減額しきれない場合は、2回目で減額を行い、それでも控除しきれない金額がある場合は、確定申告時に控除する。この場合、「確定申告時に減額分の控除を忘れることがないよう、特に注意する必要がある」(波多江氏)。

【ケース2】予定納税対象者で扶養家族がいる

 同一生計配偶者や扶養親族がいる場合、予定納税において、その分が自動的に特別控除の対象とならない点に注意が必要である。

 その場合、予定納税額の減額申請手続きを行っていれば、控除を受けることが可能だった。ただし、本稿掲載時点で24年分の申請期限はすでに過ぎているため、控除を受けるには、確定申告で同一生計配偶者や扶養親族に対する減税額を申請して控除する方法がある。