軽自動車の存在が一般化
購入を後押しするのが、補助金
一方で、サクラ/eKクロスEVがヒットしている背景には、まず軽自動車の存在が一般化したことが挙げられます。いまや日本国内で保有されるクルマの約4割が軽自動車です。
一昔前まで、軽自動車に対する差別というか偏見のようなものがありましたが、今はそうした感覚は減り、軽自動車の購入に二の足を踏むようなことはなくなっていると思います(ただし、彼氏の車が軽自動車だと恥ずかしいかどうかのコラムを最近読んで思わず笑ってしまいましたが)。
パッケージングは飛躍的に改善されました。4人ゆったり座れて荷物がたっぷり積めるハイトワゴンのサクラ/eKクロスEVは、他のハイトワゴン系軽自動車と比べても遜色のない室内空間をつくっています。
メーカーもディーラーも売る気満々でちゃんと試乗車を用意しています。乗ってみるとエンジン車の軽とは違って、力強くて快適な走りであることが分かります。エンジン車は加速時にエンジンが頑張ってトルクを発生している印象を受けますが、EVはそうした印象がなく、しっかりとしたフィーリングです。
そして、購入を後押しするのが、補助金です。サクラ/eKクロスEVは、国の補助金55万円が支給されます。さらに地方自治体の補助金もあり、東京の場合だと55万円。合計110万円です。
車両本体価格は、サクラの最上級グレードが約300万円。サクラのベース車となったエンジン車の「デイズ」は約200万円なので、補助金を差引するとほぼ同額になります。しかも、サクラは軽自動車税、自動車重量税、環境性能割といった税金がグッと低くなります。
サクラは電気、デイズはガソリンで走ります。電気はどのように充電するか、どんな契約にするかで変わってきますが、電気代はガソリン代より圧倒的に安く、だいたい2分の1から4分の1程度で済みます。通勤用で、仕事場で充電可能ならさらに個人負担は安上がりです。なお、現在では全国のEV充電スポットは約2万5000カ所あります(EV充電スタンド情報サイト「GoGoEV」より)。
メンテナンスは、EVはオイル交換が不要、回生ブレーキのおかげでブレーキパッドも減りにくいといったメリットがあります。
ガソリンへの補助金が縮小する一方で、ガソリン減税の実現は不透明です。高騰するのはガソリンだけでなく、食品なども値上がりし生活費の負担が増している人も多いことでしょう。物価高で節約指向が高まるほど、経済性の高い軽EVに注目が集まるのは、何ら不思議なことではありません。