
今回は情報・通信セクターの主要5社を取り上げる。ソフトバンクグループ、KDDI、NTTデータグループ、野村総合研究所など5社の中で、年齢別に年収を比べた場合、団塊・バブル期・就職氷河期・ゆとり世代のうち、どの世代が得をしたか?特集『氷河期、バブル…どの世代が損をした?5世代を比較!主要100社の「20年間年収推移」』(全32回)の#20では、過去20年間を10年刻みにして、5世代それぞれの平均年収と主要100社内のランクの推移を独自に試算した。その結果、各社とも年配の社員が恵まれているという結果になった。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)
年収が高いソフトバンクG、野村総研、NTT
IT業界主要5社の世代間格差は?
今回は情報・通信セクターの主要5社を取り上げる。孫正義会長兼社長が「AIに全力投資する」と宣言したソフトバンクグループ(G)を筆頭に、携帯電話事業が主力のKDDIや日本電信電話(NTT)、システム開発のNTTデータグループや野村総合研究所が対象である。
孫氏といえば、日本を代表する大金持ちである。米「フォーブス」誌の2024年「日本長者番付」によると、資産の総額は約270億ドル(約4.2兆円)。ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長(約380億ドル)に次いで、巨万の富を持っている。
ベンチャースピリッツあふれる孫氏が率いるソフトバンクGと対照的なのがNTTだ。「官僚よりも官僚的」といわれる保守的な企業イメージがある。
ただ、平均年収で見ると、両社にそこまでの開きはない。ソフトバンクGが1360.1万円、NTTが1023.8万円であり、共に1000万円を超えている。このほか主要IT企業は、総じて年収が高めだ。野村総研が1271.6万円、KDDIが986.9万円、NTTデータが905.7万円となっている。
なお、これは直近の1時点のみの評価で、若手から年配まで社員全員の平均値である。現在注目されている世代間格差の観点に立つと、各社はどうなっているのだろうか。
5社の中でそれぞれ、年齢別に長期で年収を比べた場合、団塊・バブル期・就職氷河期・ゆとり世代のうち、どの世代が恵まれていたか?このことを探るため、ダイヤモンド編集部は20年間を10年刻みにして、5世代の年収と主要100社内のランクの推移を独自に試算した。
2000年代から現在までの、20代、30代、40代、50代といった現役世代から、60代と70代のOB世代までが対象である。「それぞれの世代はこの20年で給料を幾らもらっていたのか」「その会社の中ではどの世代が得をしたのか」「日本の主要企業100社の中で、年収で見たときに序列は高かったのか」が、残酷なまでに浮き上がる47項目のデータとなっている。
試算の結果、各社とも年配の社員が恵まれているという結果になった。専門家による3年後の平均年収の予想額も掲載した。次ページで確認しよう。