近年、企業による社員待遇の向上が続いている。人手不足や物価の上昇など背景は複数考えられるが、なにより、企業が成長するためには年収アップで人を引き付ける必要がある。ダイヤモンド編集部では、統計専門調査会社の協力の下、最新のデータを反映した3年後の年収を大胆予想。特集『【最新版】3年後の予測年収1355社ランキング!全30業種で「勝ち組」はどこだ?』の#7では、通信・メディア業界の予測年収を独自に推計し、全28社のランキングを作成した。(ダイヤモンド編集部 山本 輝)
元祖高給のテレビ局に通信業界
年収1000万円を割り込む3社は?
「高給」といえば、今でこそコンサルティング業界や総合商社が話題になることが多いが、その元祖といえるのがテレビ局だ。
インターネットが普及し始めた頃から「放送と通信の融合」が起こり、テレビ局のビジネスモデルは崩壊するといわれ続けてきた。実際、スマートフォンでYouTubeやNetflixを視聴するのが当たり前になっている。それでも、テレビ局の高い年収は保たれたままだ。
2024年3月期の実績平均年収は、フジ・メディア・ホールディングス(HD)の1621万円を筆頭に、テレビ東京ホールディングスが1445.6万円、テレビ朝日ホールディングスが1400.0万円、TBSホールディングスが1312.6万円、日本テレビホールディングスが1296.9万円と超高水準の額がずらりと並ぶ。
さらには、地上波キー局ではない、スカパーJSATホールディングスも1203.7万円、WOWOWも1049.6万円と「1000万円超え」の水準だ。
一方、放送業界をのみ込むという予見が的中したかはさておき、通信業界の年収も高い。ソフトバンクグループは1360.1万円、日本電信電話(NTT)は1023.8万円、KDDIは986.9万円だ。
ホールディングス企業では、持ち株会社単体の人数が少ないため有価証券報告書の平均年収が高く表示されがちになる。とはいっても、テレビ局と通信業界大手の給料水準が総じて高いことは間違いがない。
そんな高待遇企業が多い通信・メディア業界の3年後の給料はどうなっているのだろうか?ダイヤモンド編集部では、統計専門調査会社の協力の下、24年3月期までの実績値から3年後となる26年4月期~27年3月期の年収を大胆予想した。
試算対象としたのは、通信・メディア業界の28社だ。年収が業績などに連動することを前提に、各社の公表資料を用いて重回帰分析による予測モデルを作成、アナリストによる業績予想のコンセンサスデータを当てはめて試算を行った。
ここまで挙げてきた企業に加えて、光通信、IGポート、東宝、東映、松竹、NTTデータグループ、アイ・ピー・エス、GMOインターネットグループ、東映アニメショーンなどを対象としている。
その結果、28社のうち17社が3年後の平均年収が減少する試算結果に。大手通信会社、映画・アニメ関連大手、放送関連大手の3社は1000万円を割り込む憂き目となった。一方で、すでに1000万円超えしているにもかかわらず、さらに300万円ほど増加する企業も登場。果たして、28社の3年後の年収はどれくらい増えるのか?あるいは減るのか、一挙に、見ていこう。