どの世代が損をしたか?氷河期部長&課長の憂鬱 出世・給料・役職定年#1Photo:Bloomberg/gettyimages

NTTグループが年功序列を廃した人事改革を進めている。最大の打撃を受けたのが「ジョブ型雇用」を導入した管理職。年収1000万~1800万円超の氷河期世代の部長・課長たちだ。特集『どの世代が損をしたか?氷河期部長&課長の憂鬱 出世・給料・役職定年』の#1では、管理職、一般社員、専門職、プロフェッショナル社員とNTTの全ての職位を網羅した年収水準を実額で公開すると共に、グループの人事担当役員が自ら語った「ジョブ型雇用」と「役職定年」の課題を明らかにする。(ダイヤモンド編集部 村井令二、永吉泰貴)

ジョブ型導入後の年収額を完全公開!
年収1000万円超の氷河期世代「降格の恐怖」

 NTTグループが年功序列の廃止を狙って人事制度改革を進めている。

 2021年10月にNTTグループ主要6社の管理職2万人超に「ジョブ型雇用」を導入したのに続き、23年4月から一般社員向けに専門人材を育成する新たな人事制度を導入。これにより、グループ社員の新たな出世と待遇の全体像が見えてきた。

 以前のNTTの人事制度は職務を限定しない「メンバーシップ型」の典型だ。入社年次に応じて2~3年ごとに幅広い職務をローテーションしながら、主査(係長)、課長、部長へと昇格する。原則として降格はなかった。

 NTT内部では、同期で最も出世が早い社員を「最早組(さいそうぐみ)」、それに続く社員を「次早組(じそうぐみ)」と呼ぶ慣習がある。30歳前後で主査、35歳前後で課長、40歳前後で担当部長へと出世するエリートコースに乗った社員のことで、一度外れると挽回は難しい。一方で、エリートコースでも役員候補になるのは早くても40代後半で、大胆な抜てき人事が生まれにくかった。

 こうした硬直的な人事制度が「官僚よりも官僚的」とされたNTTの社風を生み出してきた一因だ。一連の人事改革は、長く続いた年功序列を破壊して実力主義を根付かせることができるのか。

 次ページでは、NTTの管理職、一般社員、スペシャリスト(専門職)、プロフェッショナル社員の全ての職位とグレードの新制度下での年収の実額を網羅して掲載。

 さらには、管理職にジョブ型の人事の導入した後も役職定年制度が続いている現状について、同グループの人事担当役員が自ら指摘した課題を明らかにする。社員が語った「降格への恐怖」など、生の声とともに伝えていこう。