![ニュースな本](https://dol.ismcdn.jp/mwimgs/8/e/650/img_8e17cfd089977bc02241e524a4e43015341747.jpg)
ぼーっとしているとき、寝起きの瞬間などアイデアが思いつきやすいシチュエーションは、人によって異なる。そのようにアイデアが浮かぶメカニズムには、まだ謎が多いが、リラックスしているときに比較的多いようだ。リラックス時の脳の活動について、専門家が解説する。本稿は、井ノ口馨『アイドリング脳 ひらめきの謎を解き明かす』(幻冬舎新書)を一部抜粋・編集したものです。
ひらめきや独創は
記憶の連合の産物
ひらめきとは一体なんでしょうか?
古代中国では、馬上・枕上・厠上だとアイデアが思いつきやすいといわれていました。これを現代に置き換えると、乗り物に乗っているとき、寝ているとき、ひとりでいるときでしょう。皆さんはどんな環境や条件が揃うときに、ひらめきやすいでしょうか?
僕がまわりに聞いてまわったところでは、満員電車に揺られているときにひらめく、という人がいました。特に夕方のラッシュ時がよいそうです。僕自身も経験していますが、海外出張のときの飛行機もひらめくにはよい場所です。
聞くところによると、作家さんの中にはストーリーをひらめくために、何の用もないのにわざわざ欧米行きの飛行機に乗って帰ってくるだけの人もいるとか。20時間ほど空の上にいるのが影響しているのでしょうか。
その他では、風呂につかる、知らない場所を散歩する、ジョギングする、家で音楽を聞くなど、ひらめきやすい状況は人によって異なると思います。カフェのような少々ざわついた場所がよいという人もいるでしょう。皆さん、それぞれにひらめきやすいリラックス方法があるようなので、色々と試してみるといいかもしれません。
共通するのは、何かに集中していない、ということです。おそらく何かに集中していると、脳はアイドリングの働きを抑えてしまうのだと思います。単純な作業や運動をしていてもいいけれど、頭はぼーっとしているのがアイドリング脳(編集部注:睡眠中や休息中など、何かに集中していないときの脳の状態や働きや潜在意識下の脳の状態や活動のこと。例えば「寝て起きたら解決法がひらめく」などの現象)を働かせるコツです。
寝ている間に夢の中で解決策がひらめく、という人もいます。歴史的快挙の例でいえば、化学者のケクレ(1829~1896)は、夢の中でベンゼン環の構造をひらめきました。