事前にどれだけ「準備」できていたか
その準備は「想像力」から生まれる

 つまり、仕事ができる人・できない人とは、準備をちゃんとする人・しない人ではないでしょうか。その準備は「想像力」がなければ生まれません。

 これは言い換えると「他者の状況を理解する」ということになります。ビジネスパーソンの皆さんは、当然やっていると思うかもしれませんが、実は意識しないと難しいこと。誰しもつい自分の物差しで物事を見がちなのです。

 冒頭で挙げたように、自分のアイデアを社内会議で通したいと思ったときにも、他者の状況を想像してみてください。

 自分が意見を述べる相手の好きなこと、興味のあることにフォーカスすることが大切。他者を尊重した論法を持つと、調和が取れるのです。

 ドムドムの代表取締役に就任してから、私はアパレルとコラボ(共同事業)したいと考えました。今ではさまざまなドムドムのアパレルグッズが登場し、どれも大人気ですが、発案した当初は取締役会議で大反対に遭ったのです。

大反対された会議の後で
調べたことは…

 取締役会議では代表取締役が一番強いと思うかもしれませんが、そんなことはありません。当時は親会社や出資元の銀行からの取締役員がいましたから、むしろ代表である私のほうがアウェーの立場。皆が反対と言えば、自分の意見を押し通すことはできません。

 私はアパレルショップ店長の経験がありますから、コラボしたいこのブランドは「こんなにかわいくて、全国に何十店舗もある」「銀座の××にも出店している」と述べました。でもアパレルに興味がない人にはそのすごさが分かりません。最後には「洋服を売るより、ハンバーガーを売ることを考えては」などと言われてしまう始末……その論理もごもっともです。

 そこで私は考えました。次の会議の前に、そのアパレルブランドの会社の成り立ちを調べたのです。