「あなたのチームの会議、意見が出るとギクシャクしていませんか?」
そう語るのは、これまでに400以上の企業や自治体等で組織変革の支援をしてきた沢渡あまねさん。その活動のなかで、「人が辞めていく職場」に共通する時代遅れな文化や慣習があると気づきました。
それを指摘したのが、書籍『組織の体質を現場から変える100の方法』。社員、取引先、お客様をうんざりさせる「時代遅れな文化」を指摘し、現場から変えていく具体策を紹介。「まさにうちの会社のことだ!!」「すぐに実践してみます!」と、とくに現場リーダー層を中心に多数の反響があり話題に。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、「会議がギクシャクする理由」を紹介します。
![【だから部下が辞めていく】あなたのチームの会議が「いつもギクシャクする」9つの理由](https://dol.ismcdn.jp/mwimgs/e/8/1300/img_e866b3556cfc5a2021bc32f0c8a9e1b0199846.jpg)
議論をするとギクシャクする組織
「当社の社員は議論が苦手なんです」
「ウチの職場では、議論が成り立たない」
このお悩みの声も、企業の管理職や担当者から大変よく聞く。議論をするつもりで会議を行うものの、議論にならず結論が出ない。その逆に、メンバーと対話をするつもりで1on1ミーティングを設定するも気が付けば議論に発展してしまい、相手との関係がギクシャクしてしまう。
これが常態化すると、その組織における会議や1on1ミーティングに対する人々の効力感も信頼感も下がる。そして「お地蔵さん」(そこに座っているだけで何も発言しない人)や欠席者が増える。
結果、コミュニケーションも提案も減り、共創の機会が失われていく。
改善や挑戦の意識も薄れていくだろう。提案したところで、場の空気がこじれるだけだからだ。
議論の定義をしているか?
議論ができる職場にするには、どうすればいいのだろう。答えを見つけるには、そもそも議論とは何か、その解像度と理解度を上げよう。
議論が苦手な組織では、次のような行為が目立つ。
●誰かが一方的に主張をしているだけ
●相手を打ち負かそうとする
●感情論に発展してしまう
●感想や所感の共有で終わってしまう
これでは議論が成り立つわけがない。議論を定義するなら、こうである。
「あるテーマに対して、意見を交わしつつ結論を出す行為」
あなたの組織が「議論ができない」9つの理由
議論の定義に沿って、あなたの職場で議論が成り立たない要因を分析してみよう。具体的な要因が把握できただけで解決策が見えることもある。
①場の目的が共有されていない
目的の認識やゴールのイメージが参加者間で異なる。議論をする場なのに、皆あるいは一部の人がそのつもりで参加していない。あるいは議論に白熱するあまり相手を打ち負かしてしまう。
②テーマ設定が不適切
テーマが曖昧、またはテーマの粒度が大きすぎて(あるいは小さすぎて)出席者がピンときていない。
③参加者の選定が不適切
その目的を達成するのに相応しい人がその場にいない(例:決裁権を持つ人がいない)。そのテーマを論じるのに十分な知識や経験または役割を持った人が参加者にいない。
④意見がない
そもそもそのテーマに対して誰も意見を持っていない。それ以前にメンバーの多くは意見を持った経験すらない。
⑤十分な材料が提供されていない
議論をするために必要な情報やデータが揃っていない。
⑥仕切る人がいない
議論を仕切る人、ファシリテータや書記役、タイムキーパーなどがいない。皆、思い思いの意見を言うか黙るかのいずれか。事実と感情の切り分けができず、感情論による言い争いに発展してしまう。
⑦場の雰囲気が悪い
意見を言えるような雰囲気ではない。高圧的な人がいて意見しにくい、または雰囲気は決して悪くはないが、初対面の人たちばかりでお互いをよく知らない。
⑧実行されない
決まったことが確実に実行されない。流れてしまう。だから参加者は議論をする気が起きない。
⑨能力不足、経験不足
議論をするための能力がメンバーに備わっていない。まともに議論をした経験すらない。ゆえに、あるべき議論の姿さえもイメージできない。議論イコール相手を打ち負かす場だと思ってしまっている人も。
あなたの職場では、上記のどれがネックだろうか。ぜひ考えてみてほしい。
(本稿は、書籍『組織の体質を現場から変える100の方法』の内容を一部抜粋・編集して作成した記事です。書籍では、「議論できない組織」を変えるための具体的な方法も紹介しています)