限られた権限と予算の中でも
会社の利益を上げられる

 また店内にどうしても置いておかなければならない段ボールにも、そのピンク色の布をかけてお客様の目に触れないようにしました。それだけで店内が明るくなって雰囲気がガラリと変わったのです。

 ほかにも商品のラインやディスプレーを見直したり、POP類を手書きにしたりするなどの店舗改革を行い、次第に売り上げがアップしていきました。このように与えられた権限と限られた予算の中でも、会社の利益を上げることはできるのです。

 そして売り上げが上がると、与えられる予算も大きくなります。入社して3年たったころ、店舗の改装をしました。わずか10坪の店の改装で大した請負金額にもならないのに、その時私は3~4社の相見積もりを取ったのです。今振り返ってもずうずうしいと思うのですが、それだけすてきなお店にしたいという気持ちが強かったのですね。

 そうしてリニューアルした後はさらにお客様が増え、お店がにぎわい、結果として年商もバンと上がりました。

先のことを考えてしまうと
仕事はつまらなくなる

 お店がきれいになって、商品がどんどん売れてくるようになると、そこで働く若いスタッフたちも仕事が楽しくなります。こうなるとスタッフ全員が仕事に活き活きと取り組み、居心地の良い店内の雰囲気が生まれ、ますます商品が売れ、利益が増えるという好循環に入ります。

 仕事は、先のことを考えてしまうと、つまらなくなるのです。私はこの先出世しなかったらどうしよう、お給料が上がらなかったらどうしようなどと、不安に思ったことは一度もありません。いつも目先のことだけを見ていました。

 ドムドムの社長になった今も、一日一日、ひとつひとつのステップを大事にしています。自分が携わることへの好奇心が情熱に変わり、目の前のものに夢中になっている感じなんです。ですから「仕事を辞めてもいいか」と聞かれたら、辞めてもいいです。でも一度、今ある仕事を楽しむ姿勢を持って取り組んでほしいと思います。

>>第6回は2月21日(金)に配信予定です