働き盛りの30代や40代の頃を振り返って、「きつくて大変だったなあ、もう嫌だと思うこともあったけれど、よく逃げ出さずに頑張れたものだ」と、当時の自分に感心する人もいるでしょう。

 あるいは、「きつさのあまり逃げ出したけど、あのとき耐えることができたら、もっと別の人生になっていたんだろうなあ、でもどちらがよかったのだろうか」と判断に悩む人もいるかもしれません。

 青春時代には受験があったり、親友との語り合いがあったり、恋愛や失恋を経験したり、進路に悩んだり、もっと大きな枠組みで生き方に悩んだりと、その後の生き方に影響を与える経験がたくさんあったはずです。

 そんな青春時代を振り返ると、傷ついたり悩んだりしたけれど、今思えばほんとうに楽しかったという思いが込み上げてくるものです。中にはあんな苦しい時代に戻りたくないという人もいるでしょうが、あの頃に戻りたいという思いに駆られる人のほうが多いのではないでしょうか。

 子どもの頃は、だれにとってもとても懐かしいもの。当時の写真をアルバムで見ていると、自分にもこんな時期があったんだと不思議に思ったりするでしょう。

 幼い子を見て、なんの悩みもない平和な世界を生きていて羨ましいなあと思うこともあるかもしれませんが、幼い子どもたちもけっしてメルヘンのような世界を生きているわけではありません。

 自分の幼稚園時代や小学校時代を思い起こせば、幼いなりに深刻な悩みがあったり、苦しい思いをしたことがあったりしたことに気づくでしょう。子どもも、幼いなりに厳しい現実を必死に生きているのです。

 そんなことを踏まえて、これまでの人生を振り返り、しばらく感慨に浸ってみるのもよいでしょう。ここはまだ導入部なので、あとで改めてしっかり振り返ってもらいたいと思いますが、まずはちょっと回想を試みてください。

これからの人生に対する不安や期待

 今度はこの先に思いをめぐらせてみましょう。60歳からの人生をどう生きるか。それは重大な問題でしょう。