![不安そうな就活生](https://dol.ismcdn.jp/mwimgs/5/c/650/img_5c823345764b0a1ecb5573b2360412cc322217.jpg)
人手不足が深刻化する中、新卒採用で内定者の囲い込みに奔走する会社も多い。そんななか、企業が内定者の保護者から子どもの入社について承諾を得る「オヤカク(親確)」を行うケースが増えているという。2023年度に就職情報サイト「マイナビ」が行った調査では、子どもの内定企業から「オヤカク」を受けた保護者は52.4%で、調査開始から初めて半数を超えたという。中高年世代の就活では親の出る幕はなかったが、なぜ今「オヤカク」が増えているのか。その理由に迫る――。(清談社 真島加代)
企業が行う「オヤカク」
政府は防止を呼びかけ
2024年12月、政府は27年春入社(現在大学2年生)の就職活動ルールを定めた。そこでは新たに、内定者の保護者に子どもの入社意向を確認する「オヤカク(親確)」を防止する方針が追加された。
オヤカクは、電話や書面で保護者から内定の承諾を得るのが一般的だ。しかし、企業が保護者に対し、学生の内定を承諾するように強要する事例が発覚。学生の職業選択の自由を妨げる可能性があるため、政府は今後「オヤカク防止」を呼びかけていくという。
「現在、企業が採用活動で行っている『オヤカク』は、世間的に“親の了承を得たほうが良い”という風潮の強まりや、内定者の囲い込みが目的です」
そう話すのは、企業の新卒採用支援をはじめ、学生向けのキャリア教育や就活支援を行うStrobolights代表の羽田啓一郎氏だ。
羽田氏いわく、近年はオヤカクのように就活生の“保護者”にアプローチをする企業が増えているという。
「保護者向けに企業のパンフレットを作成し、自社の安定性や福利厚生、働きやすさをアピールしたり、内定者の保護者宛てに手紙を書いたりする企業もありますね。そうした保護者へのケアのひとつが『オヤカク』です。私の体感としては、24年度卒の学生(25年入社)を採用する過程で、企業から『オヤカクをしたほうがいいでしょうか?』と相談を受ける機会が増えています。これまで問題なく新卒を採用できていた企業も『親の反対』を理由に内定を辞退されるようになり、オヤカクの必要性を感じているようです」
親に反対されて内定を辞退しているなら、親を説得しようというのが企業の考えだ。しかし羽田氏は「オヤカクは無意味」と断言する。
「私が主催する学生コミュニティの学生約100人に、内定辞退をした理由についてアンケートを取ったところ『親に反対されて内定を辞退した』という学生はひとりもいませんでした。たしかに、同じアンケートで『親に就職先について相談する』と答えた学生も多いですが、あくまで参考程度に聞いているようです。おそらく親の反対はただの口実で、辞退した理由はほかにあります」