野沢温泉でインバウンド外国人と交流
第4レグ:飯山市~横浜(395.3km)

 BEVの冬季ドライブでは、“遭難”の可能性もある。豪雪による除雪不全や立ち往生の車両などに行く手を阻まれ長時間停車を余儀なくされた時、電力を消費しきってしまい、走行不能になるのではないかという懸念である。

 筆者は、マイナス10度くらいまでは余裕で寝られる冬山用シュラフ(寝袋)を携帯した。それと水、食料さえあれば全電源OFFでも長時間の待機に耐えられる。が、そんな備えをしているドライバーは少数派であろう。ということで、停止時にどのくらいエネルギーを消費するか、ビバークテストを行ってみた。

 テスト前の充電率は73%。気温は開始時の午前4時がマイナス4度、フィニッシュ時の午前10時がマイナス2度。エアコン設定温度20度、内気循環、シートヒーターONという条件で6時間過ごした。

 結果、充電率は22%に。6時間での低落幅は51%。100%充電時の電力量が16.5kWhだとすると、8.4kWhを消費したことになる。

 実は、こうした6時間ビバークテストを、他のBEVでも行ったことがある。ボルボ「EX30」では、気温マイナス4度~マイナス1度の条件下で3.1kWhだった。日産「リーフe+」では、マイナス12度~マイナス5度で4.4kWhだった。というわけで、サクラの消費電力量が、はるかに多いことが分かる。

 原因として考えられるのは、エアコンの効率や車体の断熱性能の低さだろう。サクラはシティコミューター用途を主眼に作られたモデルで、エアコン性能や車体の断熱性などは優先順位が低い。コスト配分を考えるとやむなしといったところである。

 飯山市からは野沢温泉で湯めぐりを楽しむことに。野沢温泉街は欧米人であふれ返っていた。大正15年創業と書かれた蕎麦屋に入ると、筆者以外の全員が欧米人。山菜そばを注文すると、「オー、サンサイ!」「ワッティズサンサイ?」などと会話が聞こえてきた。

 旅行者4人と話をした。オーストラリアから来た男性は20回以上の来日歴があり、野沢温泉は4度目だという。他の欧米人も一様に日本愛を口にしていた。そういえばこの前日、北越急行ほくほく線まつだい駅で列車に唯一乗り込んだ2人組が、外国人だった。

 インバウンドの観光公害が最近は問題視されているが、こうして外国人が日本を気に入り、日本人の足が遠のいてしまった、しかし本当は魅力ある場所を訪れてくれるのは純粋に素晴らしいことだと感じた。彼らの行動によって、日本人が魅力を再発見する効果も期待できる。