それらに共感できれば、学校はこう思うのです。
「この親御さんのお子様なら見てみたい。お預かりしたい」
身元確認の次に大切なのが本人の考査でなく、親の資質であると申し上げる根拠は、ここにあります。
子どもの考査をなくして親子面接と願書(論文)だけにした2020年秋の田園調布雙葉小学校附属幼稚園をはじめ、コロナ禍では軒並み多くの学校で行動観察や体操など、集団での子どもの考査(編集部注/小学校受験では試験のことを考査と言うことが多い)が省略されました。
「この絞られた考査で本当に子どもを見られるのか」「結局、縁故が強くなっただけではないのか」と気を揉まれた親御さんの心労は察するに余りありますが、学校はこれまでと何ら変わりなく、正当に選考していたと自負されていると思います。
願書、面接を通じ、親御さんの資質を確認してからであれば、多少の材料の減少はあっても、子どもの姿を見るには十分な考査であるということでしょう。
小学校受験の考査は
相対評価でなく絶対評価
最後のステップでようやく本人の登場ですが、相手は5~6歳児です。考査の時間の作られた姿だけではなく、どうにかして子どもの本来の姿を見ようと、学校はあの手この手で考査を行います。
「未就園児、未就学児の考査は、究極のポテンシャル採用」です。「この子の話を聞く姿勢は、学力が伸びそうだな」そんな目線で考査は行われています。
例えばペーパー考査で、キョロキョロ落ち着きなく80点の子と、姿勢良く先生の話を最後まで聞いて同じ80点の子。皆様が先生のお立場でしたら、どちらの子と授業をしたいでしょうか。
小学校受験の考査は、相対評価でなく絶対評価です。求められるのは、それぞれの学校が「重視している性質」の合格ラインを超えることです。
100点を取る必要はないですし、どんなに総合力がある子でも、学校が求めている性質が合格ラインに届かなければ合格できません。
それも含めて、学校と家庭の相性が合否を決めます。学校は子どもの姿に親御さんの子育ての姿を映して見ているのです。